- 2024/12/11 掲載
ステランティスと中国CATL、スペインにEV用電池工場
工場建設で追い風となるのがコスト低減と政府からの資金援助。オランダに拠点を置くエレクトリック・ビークル・データベースによると、ステランティスとCATLがスペイン北東部サラゴサに設立した対等出資の合弁会社が2026年末までに生産を開始。生産能力は、電池の容量で換算すると、1日当たり平均で70万台のEVに充電できる50ギガワット時(GWh)に達する見込みだ。
欧州自動車メーカーはコスト高騰や中国メーカーとの激しい競争に加え、EV普及が想定より遅れているという事態に直面している。
欧州環境庁のデータによると、欧州連合(EU)諸国では23年に新規登録されたEVは約240万台と、22年の約200万台から伸びた。
欧州は、ステランティスやドイツのフォルクスワーゲン(VW)などの自動車メーカーが本拠を置く欧州にEV用電池工場を誘致することでアジア依存を減らし、米国とのグリーン補助金競争に勝とうとしている。
<EUの投票を棄権>
スペインでの工場建設が決まった背景には、輸入する中国製EVに対する追加関税を決定したEUの投票をスペインが棄権したことがある。サンチェス首相は中国との貿易戦争を避けるために再考を求めている。
自動車メーカーを抱えるイタリアやフランスなどは追加関税に賛成票を投じた一方、ドイツは反対票を投じた。
中国企業が外国に直接投資するには中国政府の承認が必要となる。ロイターは今年10月、中国政府が自動車メーカーに対して追加関税を支持する欧州諸国への大規模な投資を中止するよう内々に伝えたと報じた。
スペイン政府は20年、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)対策となるEUの基金を活用した50億ユーロ規模のEV用電池工場の誘致計画を発表した。政府によると、ステランティスはこの計画から補助金約3億ユーロを受け取った。
<スペインの誘致>
オーロラ・エナジー・リサーチのイベリア地域・フランス調査担当トップのクリスティーナ・レンテル氏は、サラゴサを進出先に選んだのは補助金とスペインの自動車産業、グリーンエネルギー、人件費が比較的安いことなどがあるとの見方を示した。
サラゴサは風力と太陽光発電が豊富で、電池工場が立地するには魅力的な場所になっている。米コンサルティング大手マッキンゼーが7月に発表した調査によると、スペインの太陽光発電の価格は中欧より20─25%安い。
再生可能エネルギーは、サラゴサが州都となっているアラゴン州の電力設備の5分の4を占めている。米マイクロソフトやアマゾン・ドット・コムなどは数十億ユーロ規模のデータセンターを建設している。
<EV用電池の生産拡大>
サラゴサはCATLにとって欧州で3番目の電池工場となり、他の2工場には自社で全額を投じた。ドイツに6年前に設立した工場は総投資額が18億ユーロで、最終的な生産能力は14ギガワット時(GWh)となっている。
ハンガリーには73億ユーロの投資計画で新工場を建設中で、生産能力は100ギガワット時(GWh)となる。
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