- 2024/11/25 掲載
中国スタートアップ、IPO凍結で投資家の償還請求に直面
[25日 ロイター] - 中国のスタートアップ企業の間で資金調達初期段階のベンチャーキャピタル(VC)と合意した期間内に株式を上場できず、投資資金の償還請求や訴訟に直面するケースが増えている。業界幹部が明らかにした。
世界のスタートアップ企業は新規株式公開(IPO)などの目標が達成できなかった際に、プライベートエクイティ(PE)やVCがプレミアムとともに資金の返還を要求できる償還請求権に合意することが多い。
しかし中国ではIPO市場が今年ほぼ凍結し、不動産危機で景気が減速する中、資金源が減少していることから償還請求が増加し、多くのスタートアップ企業の存続が脅かされているという。
コンサルティング会社Zero2IPOのデータによると、償還による退出は2023年に641件と3倍近くに増加。24年1─9月では前年同期比68%増加した。
こうした中、規制当局がIPOプロセスへの監視を強化したことから上場計画を取りやめる企業が相次いだ。
弁護士によると、スタートアップ企業や創業者に返還資金がないため、償還関連の係争も増加しているという。
法律事務所Lifeng Partnersは、約1万4000社の中国スタートアップ企業が現在、計8兆6000億元(1兆2000億ドル)相当の投資に関連し、投資家の償還権行使リスクにさらされていると推定している。
Hylands法律事務所(上海)のパートナー、Huang Jiri氏は「市場環境の変化と退出圧力の高まりにより、償還を巡る訴訟が大幅に増加している」と指摘。そのほとんどが、事前に合意された期日までに企業が株式公開を果たせなかったことが引き金となっていると語った。
こうした状況は地政学的な影響を受けないよう、システム上重要な産業におけるイノベーションを促進し、技術的自立を達成するという政府の決意に相反する。
政府はこれに対処するため、短期的な利益追求ではなく「忍耐強い資本」の推進に取り組んでいる。
<予防措置>
VCにとっては、利子とともに全額返金を受ける権利のあるスタートアップ企業の存続よりも、自らの投資家に資金を返還することが優先される。
ある国有投資グループの責任者は「償還権は単に責任を回避するための手続き上のコンプライアンスとして合意されることが多い」と指摘。「国有ファンドはあらゆる種類の監査や調査に直面している。企業には同情するが、われわれは監視を回避できない」と述べた。
また、グレーター・フィルター・ベンチャーのパートナー、トム・ジン氏は、起業家の中にはすぐに考えを変える人や投資資金を無駄にする人もいるとし、未熟で気まぐれで、腐敗した起業家からVCを守るためには償還権という予防措置が必要だと指摘した。
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