- 2024/11/21 掲載
ホンダ初の全固体電池、搭載時に航続距離2倍 コスト25%低減
[栃木県さくら市 21日 ロイター] - ホンダは電気自動車(EV)向け次世代電池の全固体電池で、航続距離を20年代後半には現在主流のリチウムイオン電池の2倍に伸ばすことを目指す。コストも25%低減させる。開発を担う本田技術研究所の大津啓司社長は、電池開発競争で日本は中国・韓国勢に後れを取っているが、全固体電池は「その状況をひっくり返していく一つの技術になり得る」と期待感を示した。
同社は20日、同研究所の栃木県さくら市にある敷地内に430億円を投じて建設した全固体電池の実証ラインを初公開した。
搭載する車種は未定だが、開発中の車種は全固体電池が搭載できるよう「レイアウトの検証は進めている」(大津社長)という。20年代後半には搭載を始める予定で、リチウムイオン電池を搭載した車種と航続距離が同じ場合には、全固体電池のサイズは50%、重量は35%、コストは25%の低減を狙う。40年代までに技術をさらに進化させ、航続距離は2.5倍以上に伸ばし、サイズは60%、重量を45%、コストを40%削減する。
全固体電池は正極と負極の間の電解質を固体にしたもので、液体のリチウムイオン電池に比べ液漏れ・発火のリスクが低く安全性に優れる。エネルギー密度も高く電池の小型・大容量化が可能で、EV普及の壁となっている航続距離を長くし、充電時間を短くできる。電池の搭載量が減れば車内レイアウトの自由度も増す。
一方、固体電解質が硫化物系であることから水分が混ざると強い毒性を持つ硫化水素が発生し、性能も劣化する。このため量産工程では電力がかかる大規模な湿度管理が不可欠だが、工夫で必要最小限にして電力費用も抑えるという。
実証ラインは来年1月に稼働し、量産工程の確立に向け技術を検証しつつ電池セルの基本仕様を決める。大津社長は、稼働にめどがついたことは「日本、ホンダにとって重要なマイルストーン」と指摘。電池コストの低減には「スケールメリットは必要。ホンダは二輪もある」とし、スケールメリットの最大化を「技術が完成するタイミングに合わせてしっかり描いていきたい」とも語った。
提携先の日産自動車も全固体電池を独自に開発中だが、大津社長は、今後「互いにウィンウィンになるポイントを探していければ、一緒にやるエリアもある」として材料の共同調達の可能性を示唆。外販も、双方にメリットがあれば「断る理由はない」とした。
全固体電池は各社が開発・量産を急いでおり、トヨタ自動車は27ー28年に搭載する計画。日産は横浜工場に試作ラインを建設中で、25年3月に稼働を予定している。
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