- 2024/11/20 掲載
貿易収支10月は4カ月連続赤字、自動車輸出の不振を半導体需要が補う
Tetsushi Kajimoto
[東京 20日 ロイター] - 財務省が20日発表した10月貿易統計速報によると、貿易収支は4612億円の赤字で、4カ月連続の赤字となった。欧米や中国への自動車輸出の不振を半導体需要が補い、輸出は前年同月比3.1%増加した。輸入は同0.4%増だった。ロイターの予測中央値は3604億円の赤字だった。
貿易統計によると、10月の為替レートは145.87円と、前年同期比で2%の円高に転じた。それでも輸入額は7カ月連続増加し、貿易赤字も解消されていない。アナリストは、根強い円安と交易条件の悪化による家計へのダメージは、賃金から物価につながる経済への好循環の実現を阻害するだろうと懸念する。
「1ドル155円近くにある今の円安局面は、(日銀の)利上げの口実になる」と、大和総研エコノミストの岸川和馬氏は述べた。「今は利上げがしやすい環境」と指摘し、今回の貿易統計は12月に追加利上げがあるとの自身の見方に沿った内容だとしている。
10月の輸出は2カ月ぶりの増加。半導体等製造装置、医薬品などが増加した一方、鉱物性燃料、自動車部品などが減少した。特に自動車関連は世界的に需要が減速しており、対米、対欧州連合(EU)、中国を含む対アジアと全ての地域で減少した。
米国向け輸出は前年比6.2%減と3カ月連続の減少。自動車関連の減少が目立った。
中国向け輸出は同1.5%増と2カ月ぶりの増加。同様に自動車(同34.0%減)は大幅減少したが、半導体等製造装置(33.4%増)などの需要で相殺された。ただ、財務省幹部は、中国経済は足踏み状態にあり「今後の対中輸出動向を注視する」としている。
全体の輸入は7カ月連続の増加。電算機類や銅・アルミニウムなどの非鉄金属鉱が増加、石炭、半導体電子部品などが減少した。
10月の季節調整済みの輸出額は対前月比で0.7%の減少、輸出数量指数は0.1%増と9カ月ぶりの増加となった。
2022年以降の円安局面では、輸入物価の高騰に加えて、ウクライナ紛争が一次産品価格を押し上げて食料やエネルギー価格高騰による家計所得圧迫を引き起こす中、日本の為替当局は異例のドル売り/円買い介入で日本円を買い支えた。今年に入り米国が利下げサイクルに入る一方、日銀は利上げによる金融正常化にかじを切ったにもかかわらず円安傾向は長引いており、市場は為替介入への警戒感を払拭できずにいる。
*財務省の発表資料は以下のURLをクリックしてご覧ください。
※過去の関連記事は[JPTBL2=ECI]をクリックしてご覧下さい。
※経済モニターアプリは reuters://screen/verb=Open/URL=cpurl:/%2Fapps.cp./Apps/economic-monitor をクリックしてご覧ください。
PR
PR
PR