- 2024/10/24 掲載
ドイツ経済、トランプ氏返り咲きなら高関税で1.5%縮小=IW予測
トランプ氏は大統領に返り咲いたあかつきには、輸入品に一律10─20%の関税を課し、中国製品にはさらに高い関税を課す方針を示している。
IWはロイターに提供したリポートで、米がEUに20%の関税を課し、EUが相殺関税措置を取った場合、ユーロ圏の域内総生産(GDP)は2027年と28年に1.3%減少し、ドイツは1.5%縮小すると予想した。
EUのGDPへの影響は25年から28年にかけて強まる見込み。米GDPへの影響は最初の2年間が強く25年は関税10%で1.3%減少、関税20%で1.5%減少と予想した。
このシナリオでは、米国の輸入が輸出よりも減少するため、GDPへの影響は時間の経過とともに和らぎ、貿易収支は改善すると想定する。
ドイツの貿易相手国は8年連続で中国が首位だったが、今年、米国が1位になった。
ブリューゲルとピーターソン国際経済研究所でシニアフェローを務めるヤコブ・ファンク・キルケゴール氏はロイターに、中国の景気刺激策は期待外れに終わり、ドイツは中国の経済回復の恩恵を受けられないと予想。さらに米国が保護主義に傾斜すれば、ドイツの短期的な成長源は非常に乏しくなると指摘した。
ドイツの輸出は23年に0.3%減少し、今年は政府予測で0.1%減少が見込まれている。
ハンス・ベックラー財団マクロ経済研究所の研究によると、関税が20%の場合、導入後2年にドイツのGDPを1%押し下げる可能性がある。
IFO経済研究所の調査では、米中貿易戦争が起きた場合、ドイツの対中輸出は9.6近く減少する可能性がある。また米国が中国製品に60%の関税、その他の国の製品に20%の関税を課した場合、ドイツの対米輸出は14.9%減少することが想定される。ドイツの自動車輸出への打撃は大きく32%減となる。
IWの国際経済政策担当責任者ユルゲン・マテス氏は「関税率が10%でも、関税がもたらす不確実性もあってドイツ経済は痛手を受ける」と指摘し、ドイツ経済が現在抱える主な問題として投資の弱さや、不確実性を感じる人々の消費への消極姿勢を挙げた。
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