• 2024/10/16 掲載

来年の賃上げ「今年並みは欲しい」、今後は経済指標慎重に見極め=安達日銀委員

ロイター

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Takahiko Wada

[高松市 16日 ロイター] - 日銀の安達誠司審議委員は16日午後の記者会見で、来年の賃上げについて、30年ぶりの高水準を記録した「今年並みは欲しい」と明言した。一方、円安修正で輸入物価指数が前年対比でマイナスに転じているとして「当面は円安が予想以上に加速することによる物価上昇圧力はかなり削減されている」と指摘。ここから先は、物価のみならず広範な経済指標を慎重に見ていくと述べた。

追加利上げに当たっては、これまでの利上げの効果と急ぎすぎる利上げでデフレに戻ってしまうリスクのバランスを見ながら慎重に進めるべきだとし、追加利上げの時期は「何月と意識しているわけではない」と話した。利上げを急ぎすぎてデフレになってしまうのは「最も避けなければならないリスク」とも指摘した。

賃上げ動向の把握については、来年も春季労使交渉(春闘)の1次集計が「1つの大きなメルクマールになる」とする一方で、1月の日銀支店長会議で各地の賃上げ状況の感触が得られる可能性もあるとして、どのタイミングで賃金の見極めをするかは「流動的だ」と話した。

<金融市場、現状は落ち着いている>

8月上旬に大きく動いた金融市場について「現状は落ち着いている」と述べた。為替は円キャリー取引の大幅な巻き戻しで円安リスクが低下していると指摘した。ただ、株式市場では日経平均株価が1000円程度上下する頻度が平均的な頻度より高いとして「不安定な余韻が残っている」との見方を示した。

市場とのコミュニケーションのあり方については「(日銀)内部で問題点を改善していこうと努力をしている最中」とする一方、丁寧に説明を尽くす中で緩やかに改善していくしかないと話した。

立憲民主党が掲げた、日銀の物価目標をゼロ%超に変更するとの選挙公約についてはコメントを差し控えるとし、現状は2%物価目標に向かって着実に歩みを進めている局面であり「当面は2%目標でやっていきたい」と述べた。

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