- 2024/10/13 掲載
中国財政相会見、刺激策の「規模」不明 市場の期待は空振り
[上海/シンガポール 12日 ロイター] - 市場が注目した藍仏安・中国財政相の会見は、経済回復にかける政府の真剣さは伝わったが、肝心の規模が不透明だった。中国政府が発表する景気支援策は具体的な内容が不明なことが多く、投資家は今回も肩透かしを食らった格好だ。
藍財政相は12日の記者会見で、国債の大幅な増発を通じて国有企業の資本増強や不動産業界の支援、消費喚起をはかると説明した。しかし、それらの施策にどの程度、支出するかは明らかにせず、投資家をがっかりさせた。
「発表された財政刺激策は予想より弱い。予定も金額も、資金がどのように使われるかも分からない」と上海のファンド会社Shanghai QiuYang Capital の投資マネジャー、Huang Yan氏は語った。Huang氏は消費促進策を期待していた。市場アナリストは、2兆─10兆元(2830億─1兆4000億ドル)規模を予想していた。
9月下旬に中国人民銀行(中央銀行)が「コロナ禍以来最大」の景気刺激措置を発表し、中国株式市場は3週間で16%上昇した。ただ足元では「刺激策ラリー」が勢いを失い、代わって政策措置の景気押し上げ効果への懸念が台頭した。そんな中で財政相の会見が開かれることになり、市場は具体的な規模が分かると期待を高めていた。
しかし期待は空振りに終わった。Huang氏は「(会見が)これでは、株上昇が失速する可能性がある」と語った。
HSBCのアジア地域チーフエコノミスト、フレッド・ノイマン氏は、具体的な数字は、今月開かれる予定の全国人民代表大会(全人代)常務委員会が承認するまで出てこないと予想し「投資家は忍耐強くなる必要がある」と述べた。
元ブリッジウォーターの中国アナリスト、ジェイソン・ベッドフォード氏は、藍財政相が大手国有銀行の資本増強を打ち出したのは、借り入れ需要の復活を期待していることの現れとみる。ただ、経済がより多くの信用を必要とするには、財政(支援)を提供し信用需要を創出できるかにかかっていると指摘した。
ウィルソン・アセット・マネジメント(シドニー)のポートフォリオマネジャー、マシュー・ハウプト氏は、「イベントマネー」の一部は、会見内容が高い期待に届かなかったとして投資を引き揚げる可能性があるが、基幹的なマネーは、中国政府の経済安定化に向けた姿勢を評価するのではないか、とみている。
LSEGリッパーのデータによると、人民銀行が大規模な景気支援策を発表した9月24日以降、海外の中国ファンドには139億1000万ドルの資金が流入し、年初来の流入額は543億4000万ドルに達した。この資金の多くは上場投資信託(ETF)に向かい、ミューチュアル・ファンドは117億7000万ドルの流出超となっている。
ベッドフォード氏は、株式市場の上昇持続に向け個人投資家の関心復活に期待する。「個人主導の持続的な上昇が成功の基盤だ。われわれはこのプロセスの初期段階にある。リスクは実行上の問題や不十分な対話だ。それでも構造的な事態の展開には依然期待できるものがある」と語った。
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