- 2024/10/11 掲載
中国の奇瑞汽車、ロシアで現地向けの組み立て開始=関係者
[10日 ロイター] - 中国の自動車メーカー、奇瑞汽車(チェリー)が、日産自動車とドイツのフォルクスワーゲン(VW)、メルセデス・ベンツがそれぞれ撤退したロシアの3工場で現地向けの自動車の組み立てを始めた。事情に詳しい5人の関係者がロイターに明らかにした。
ロシアによる2022年2月のウクライナ侵攻後、西側諸国の自動車メーカーの大部分がロシアから撤退して以来、ロシアの自動車市場では中国メーカーの販売台数が半分超を占めている。
中国メーカーはさらにロシアでの生産も広げており、侵攻後に変わってきたロシアの製造業や経済で中国が影響力を高めていることを浮き彫りにしている。
奇瑞汽車はロシアでの乗用車販売台数のうち約5分の1を握っており、関係者によるとほぼ完成した車を輸入し、ロシアの3つの工場で行っているのが最終的な組み立て作業だ。
奇瑞汽車はロシアに乗用車を供給しているが、自社工場の建設や買収は計画していないとの声明を出した。ロシアの工場での組み立てに関するロイターの質問にはコメントしなかった。
ロイターが確認した今年2月から8月にかけてのロシアの文書によると、奇瑞汽車がロシアで一部のモデルを製造する計画は安全基準適合の承認を受けた。
ロシアは輸入車に対する関税を引き上げており、外国の自動車メーカーに現地生産を促している可能性がある。
<Xサイトの新モデル>
複数の自動車ディーラーと事情に詳しい2人の関係者によると、かつて日産、VW、ベンツ、日産が所有していた工場で奇瑞汽車のスポーツタイプ多目的車(SUV)「ティゴ」と「エクシード」が組み立てられている。
関係者の1人は、日産が22年後半にロシア側へ売却したサンクトペテルブルクの工場では、奇瑞汽車の「ティゴ7」が車名を「Xサイト X―クロス7」に変えて造られていると明らかにした
日産の広報担当者はコメントを差し控えた。
この工場が今年1月に生産を再開した際、社名を挙げずに「国際的なパートナー」と協力していると明らかにしていた。5―9月までに計3447台を販売した。
情報筋の1人は、奇瑞汽車とロシアがロシアでの自動車生産に関する情報公開を最小限に抑えたいと考えていると証言した。中国とロシアの協力関係は、ウクライナ侵攻を助長する可能性のある行動を取り締まろうとする西側諸国から既に監視の目を向けられている。
ドイツ・フランクフルトにある奇瑞汽車の欧州本社の広報担当者はロイターに対し、同社のロシアでの動きは欧州での拡大計画とは全く別のものだとコメントした。
ロシア産業貿易省はコメントの要請に応じなかった。
<最終組み立て>
一方、首都モスクワの南にあるカルーガ州の年間生産能力22万5000台の工場では、自動車ディーラーのAGRオートモーティブが奇瑞汽車のクロスオーバー車「ティゴ」を少量生産していると事情に詳しい3人が語った。この工場はVWが所有していた。
AGRはコメントの要請に応じなかった。
モスクワ近郊にあるASRグループの奇瑞汽車のディーラーで新車のブランドマネージャーを務めるミハイル・ポゴノフ氏は、カルーガの工場では奇瑞汽車のエンジニアの監督を受けながら主にティゴが組み立てられていると語った。
ポゴノフ氏はティゴ7を展示したショールームで、奇瑞汽車の車を9月に142台販売し、23年10月の2倍超になったと説明した。
カルーガ州のウラジーミル・ポポフ副知事は今年8月、VWが撤退交渉を進める中で約2年間休止していた工場で24年には2万7000台を生産する計画だと明らかにした。
VWはコメントに応じなかった。
ある情報筋によると、奇瑞汽車はセミノックダウン(SKD)と呼ばれる方式を採用しており、ほぼ完全に組み立てられた状態のティゴをカルーガ州の工場に送っている。奇瑞汽車は工場のオーナーに手数料を支払い、最終組み立てをしてもらっている。
自動車ディーラー2社によると、モスクワ州エシポボの工場では奇瑞汽車の高級中型クロスオーバー車「エクシード VX」を生産している。この工場の年間生産能力は2万5000台で、ベンツが23年4月に自動車ディーラーのアフトドムに売却した。
ベンツによると、23年4月以降はアフトドムが工場を運営している。アフトドムはコメントを拒否した。
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