- 2024/10/07 掲載
英財務相、政府借り入れに歯止め トラス・ショック再発防止で
[ロンドン 5日 ロイター] - 英労働党が政権を奪還して最初となる年間予算案の発表を30日に控え、リーブス財務相はインフラ投資などに当てる政府の追加借り入れが過大になるのを確実に防ぐ歯止めを導入すると表明した。4日夜に公開された英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)のインタビュー記事の中で話したもので、歯止めを「ガードレール」に例えた。
英公的債務の残高は国内総生産(GDP)のほぼ100%に達している。投資家は、財務相が一定程度の増税とともに政府借り入れをどの程度拡大するのかを注視。英国債利回りは過去数週間にわたり、増発懸念から他国の国債よりも高い水準で推移している。
こうした中、財務相は「長期的に慎重で賢明な投資を行う」と説明し、そのための国債増発には歯止めとなる「ガードレールが必要だ」と言明。増発を懸念する投資家に安心感を与えることを狙った。
財務相によると、歳出と税制案の根拠となる予測を行う予算責任局(OBR)と、支出を監視する会計検査院(NAO)が民間投資の呼び水ともなる公共投資計画を精査する。「投資が本当に成長を後押しすることを確認する」と述べた。
また財務相は、財政逼迫に言及し、スナク前政権が予算削減を示唆していたが、そうした事態を回避するためには増税が必要だと述べた。
さらに財務相は「緊縮財政には戻らない見通しだ」と述べ、「この予算の目的は、過去から続く問題を一掃し、歳出圧力と税収について正直な評価を行うことだ」と強調。さらに「前政権は虚構に頼っていた。今度の予算は財政に正直さをもたらす機会だ」と述べた。
スターマー首相と財務相が警戒するのは、かつてのトラス政権(保守党)が引き起こした「トラス・ショック」の二の舞だ。2022年にトラス政権は財源の裏付けなしに大型減税策を打ち出し、英国債相場が急落(長期金利は急騰)し政権は短命に終わった。
スターマー政権は経済成長の加速を掲げる。インフラや温室効果ガスの正味ゼロ経済への公共投資の増加を公約しており、財務相が取りまとめる来年度予算案は公約達成に向けた試金石となる。
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