- 2024/09/04 掲載
アングル:中国でETF活況、主要株価指数下落でも個人投資家など続々参入
Samuel Shen Tom Westbrook
[上海/シンガポール 3日 ロイター] - 中国の上場投資信託(ETF)が活況を呈している。政府系ファンドが買い支えるほか、アクティブファンドに幻滅した投資家の需要に応える新商品が相次いでいるためだ。
取引所のデータによると、同国のETF資産は今年に入ってから40%近く増加して2兆8000億元(3940億ドル)に達し、過去最高の年間資金流入額を記録する勢いを見せている。これに対し主要株価指数のCSI300は4%下落している。
ファンド業界のコンサルティング会社、哲奔投資管理諮詢(Zベン・アドバイザーズ)によると、政府系ファンドの中央匯金投資は昨年10月以降、CSI300に連動する4本のETFに約4000億元を投じている。
個人投資家も規制当局のETF承認プロセス簡素化や証券会社の販促活動を背景に参入。ETF運用大手である華夏基金は「インデックス投資の認知度が高まる中、ETFは透明性が高く取引しやすい商品として、中国の投資家にますます支持されている」と説明する。
このトレンドはパフォーマンスの低いアクティブファンドを離れる投資家の獲得競争につながっている。「CSIアクティブ株式ファンド指数」は今年に入ってから12%下落。Zベン・アドバイザーズは「スターファンドマネジャーの威光はなくなった」と指摘する。
<「発展の初期段階」>
優良株指数のCSI300は2020年末から40%近く下落しているが、ETF資産はこの間に3倍近くになっている。
モーニングスターのアナリスト、王旺達氏は「アクティブ運用のファンドがアウトパフォームするのはますます難しくなっている。特に中国A株市場が非常に不安定な時に個人投資家が続々とETF投資に参入している」と話す。
インデックス投資への関心は世界的な潮流に合致。コンサルティング会社ETFGIによると、昨年の全世界のETF資産は26%増の11兆4000億ドルに達した。
しかし、中国のETF市場はそのごく一部であり、成長の可能性は大きい。
華夏基金は、コモディティー、クロスボーダー、スマートベータ型といった分野でより革新的で洗練された商品を展開していくとする。
中国のプレーヤー以外でも、JPモルガン・アセット・マネジメントの中国ETF事業は今年これまでに3倍以上に拡大。「CSI・A50指数」に連動するETFの成功、香港の低ボラティリティーで高配当銘柄に投資するETFへの資金流入などが追い風となっている。
現在6本の中国上場ETFを運用する同社の中国担当最高経営責任者(CEO)、デズリー・ワン氏は提供商品の拡大を目指していると話す。「中国のETF市場はまだ発展の初期段階。当社のETF戦略は顧客やアセットアロケーターが必要とする主要なエクスポージャーを提供することで、長期的には当社のアクティブ運用能力をETFに落とし込むことだ」と述べた。
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