- 2024/08/06 掲載
アングル:個人投資家の損切りはピークアウトか、株価急落で追証回避の売り殺到
[東京 6日 ロイター] - 株式市場では、信用買いに絡んだ個人投資家による損切りの売りがいったんピークを迎えたとの見方が出ている。海外投機筋の日本株買いポジションの解消とともに、相場全体への下げ圧力となっていただけに、需給面では下値不安が後退したと受け止められている。一方、株価急落の余波や外部環境への警戒感は根強く、目先は不安定な相場は継続しそうだ。
「短期的には前日の大引けが個人投資家による投げ売りのピークで、株安はいったんのクライマックスとみていいだろう」と松井証券の窪田朋一郎シニアマーケットアナリストは話している。
日経平均が過去最大の下げ幅を記録した5日、松井証券の店内では、信用買いされた株式の含み損益の度合いを示す信用評価損益率が、前営業日のマイナス15.9%から急速に悪化し、追証の多発が見込まれる20%を大きく上回る25.74%のマイナスに拡大した。
信用取引では、証券会社に対し取引額の3割以上の委託保証金を差し入れる必要がある。評価損が膨らんで委託保証金が不足する場合、追加で委託保証金を差し入れる(追証)か、建玉を返済する必要がある。
前日の後場は、海外投資家の売りに加え、個人投資家の投げ売りがかなり発生していたと窪田氏は指摘しており「典型的な追証回避の売りが殺到していた」と話す。追証を手当てする期限は証券会社によって異なるが、翌日の前場から後場にかけてが多いといい、きょうの大引けにかけてが「投資家による解消売りのピーク」と窪田氏はみている。
信用取引の買い残は、株価が高値を付けた7月11日以降も膨らみ、7月26日までの週に4.98兆円と18年ぶりの規模になった。翌週には今月1日─2日の2日間で3000円超下落したが、4.87兆円とわずかな減少にとどまった。
一方、今週は5日の株安により評価損益率が追証多発の水準を超過したことで信用買い残は一段と減少し、将来の売り需要は減る方向と見込まれる。
もっとも、目先は不安定な相場が継続するとみる市場関係者は多い。「ボラティリティが低い環境を前提にした投資家によるリバランスの売り、パフォーマンスが傷んだファンドが清算を迫られるなどのリスクはくすぶる」と、フィリップ証券の増沢丈彦・株式部トレーディング・ヘッドは株価急落の余波を指摘する。
外部環境への警戒感も根強い。6日の上昇相場では、割安株を買うバーゲンハントで海外勢や個人投資家による買い戻しが観測されたが、「米株安と円高が進む限り、日本株売りの流れは継続しかねない」(みずほ証券の三浦豊シニアテクニカルアナリスト)との声が出ている。
信用買い残の水準もまだ大きいとの見方から「3万6000円程度に戻れば、やれやれの売りになりやすい」として、上値抑制の要因になり得ると三浦氏はみている。
(平田紀之 編集:橋本浩)
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