- 2024/08/01 掲載
USスチール買収、当局審査進む 「今年中の完了に自信」=日鉄副会長
Ritsuko Shimizu
[東京 1日 ロイター] - 日本製鉄の森高弘副会長兼副社長は1日の決算会見で、USスチール買収について「自信をもって今年中にクローズ(完了)できる」と述べた。当局による審査も「どんどん進んでいる」とした。米大統領選挙後から年末までの間の買収完了を考えているという。
森氏は、今年に入り5回訪米し、700人以上の関係者と会ってきたという。そうするなかで「正しく我々の意図を伝え、知れば知るほどポジティブな反応になってくる」と述べた。次は9月に訪米する予定。
今後事業を続ける中で、現在買収に反対の立場にある全米鉄鋼労働組合(USW)との関係は重要と位置付けている。森氏は「組合自身は明確にポジションを変えていない」としながらも「周辺状況は変化しつつある。コミュニティや従業員、議員を含め正しい理解が浸透してきている。従業員でこのディールに反対している人はほとんどいない」との感触を示した。加えて「組合との関係も時間の問題だと考えている」と語った。
日鉄は、米国で非常に影響力がある人物だとして、トランプ前米政権で国務長官を務めたマイク・ポンペオ氏をアドバイザーとして起用した。
森氏は、この買収はUSスチールの成長を目指し、雇用も増え、投資もしていくものだと指摘。11月に予定されている米大統領選が買収に与える影響については「どちらが大統領になっても、このディールの良さは理解してもらえるのではないかと感じている」と述べた。
共和党の大統領候補であるトランプ前大統領は買収に反対しているほか、民主党の副大統領有力候補であるシャピロ・ペンシルベニア州知事も、USWが反発していることを背景に、現在の形のままでは支持できないという認識を示した。
森氏は、シャピロ氏と複数回面談したことを明らかにし、同氏の発言は、組合が反対なら反対だが、組合が了承すれば自分も了承するということだと指摘。組合に関しては、雇用に懸念がないことなどが理解されればよい方向に向かうとし、あらためて年内の完了に自信を示した。
中国の宝山鋼鉄との合弁事業解消は2年前から議論してきたものであり、結果的にUSスチール買収にプラスの影響があるが、それを狙って動いたわけではないと強調した。
関連コンテンツ
PR
PR
PR