- 2024/08/01 掲載
FRB議長、金融政策への政治の影響否定 「データに基づき判断」
Michael S. Derby
[31日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は31日、金融政策を巡る目先の議論や長期予測に政治的な配慮は一切しないと明言した。
連邦公開市場委員会(FOMC)後の記者会見で「政治日程など他の要因に対応するためにFRBのアプローチを変えることはない」とし、「政党や政治家、政治的結果を支持したり反対したりするためにわれわれの手段を使うことは決してない」と述べた。
FRBは31日まで開いたFOMCで、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を5.25─5.50%に据え置いたが、パウエル議長は記者会見で、早ければ9月のFOMCで利下げを議論する可能性があると述べた。
11月の米大統領選まで2カ月を切ったタイミングで利下げの可能性を検討することになる。
FRBが実際に9月に利下げに踏み切れば、共和党の大統領候補であるトランプ前大統領が批判を強める可能性が高い。トランプ氏は大統領在任中にFRBとパウエル氏を痛烈に批判していた。また、最近ではブルームバーグ・ビジネスウィークのインタビューで、選挙前の利下げは「やるべきでないと(FRBは)分かっている」などと述べた。
パウエル氏は会見で、利下げ時期を決めるのはデータのみだと強調。金融政策の選択は「データ、見通し、リスクバランスに基づき、それ以外のものには左右されない」と述べた。
<「長期予測にも織り込まず」>
パウエル氏は四半期ごとに公表する長期予測についても、国内政治の方向性が変わる可能性を織り込むことはないと述べた。
政府が進める可能性のあるさまざまな政策について「簡単なシミュレーションを行う」ことは可能だが、そうした変化を踏まえてFRBの実際の政策を変えることは「決して越えない一線」だと強調した。
FRBが政権や議会多数派が交代する可能性を予測や政策見通しに織り込むべきかという問いの背景には、トランプ氏が掲げる経済政策がある。
専門家らは関税引き上げ、反移民、減税などを掲げる同氏の政策がインフレ再燃につながるとみており、FRBは利下げやインフレ鈍化の長期的な期待を見直すべきとの見方もある。
LHメイヤーのアナリスト、デレク・タン氏はFRBが政治による経済予測への影響を無視できるか懐疑的だ。
「パウエル氏はFRBが代替シナリオを走らせることは認めたが、それが予測に反映されることは否定した」とし、「2025年、26年、(9月に公表される27年)のマクロ予測とドットプロットがフォワードガイダンスの重要な部分であることを踏まえると、これは信じがたい」と指摘。予測を真剣に受け止めるためには、市場は政府の政策転換が経済にどう影響するかFRBが考慮していると知る必要があると述べた。
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