- 2024/07/23 掲載
アングル:米ハリス政権誕生なら金融規制推進へ、大手銀・暗号資産に逆風
[ワシントン 23日 ロイター] - ハリス米副大統領が率いる民主党政権が誕生すればバイデン大統領の厳しい金融規制政策を推進する可能性が高く、現政権のやり方に不満を持つ大手銀行や暗号資産(仮想通貨)関連企業などには歓迎されないだろう。
バイデン政権の金融規制政策でハリス氏の存在は目立たないが、ウォール街の銀行と対立したり規制緩和に反対票を投じたりした実績から、バイデン氏の野心的な政策を継続するとアナリストは予想している。
バイデン政権の政策課題には銀行手数料やノンバンク、医療関連金融サービス企業に対する規制、ヘッジファンドの透明性改善、銀行の自己資本強化、大手仮想通貨企業に対する取り締まりなどが含まれる。
証券会社BTIGの政策調査ディレクター、アイザック・ボルタンスキー氏は22日付のメモで「ハリス氏はバイデン氏よりも左派寄りだ。しかしバイデン政権は極めて進歩的であることが証明されており、『第2次バイデン政権』と『第1次ハリス政権』に大きな違いはないはずだ」と記した。
ハリス氏を支持する民主党の有力急進左派の一人がエリザベス・ウォーレン上院議員だ。ウォーレン氏はバイデン氏の金融規制政策の策定に尽力し、ウォール街に弱腰な議員を厳しく批判してきた。
TDカウエンのアナリスト、ジャレット・セイバーグ氏は「これは金融業界と仮想通貨のリスクを高める」との見方を示した。一方、バイデン政権の元高官はハリス氏について、これまで銀行に対して厳しい姿勢を示してきたが、金融規制問題に関してはウォーレン氏ほど左寄りではなかったと指摘した。
ブランディワイン・グローバルのマクロ戦略責任者ポール・ミールチャルスキー氏は22日、国債市場ではトランプ氏の勝利を想定した「トランプトレード」の一部が解消されたが、「トランプ氏は依然として有力候補だ」と述べた。
<ウォール街に対する強硬姿勢>
ハリス氏はカリフォルニア州司法長官として名声を高め、大手銀行に対して強硬な姿勢を貫いた。
2011年には略奪的貸し付けによって被害を受けた消費者を救済するために、銀行の負担を増やすよう交渉した。また16年に大手銀行ウェルズ・ファーゴの架空口座スキャンダルに関する刑事捜査を開始した。
上院議員時代の18年にウォーレン氏ら急進派議員と共に、金融危機後に導入された規制を緩和する法案に反対票を投じた。
ハリス氏は当時、「ウォール街の強欲と不正が08年に米経済を崩壊させた。大手銀行の規制を緩和するいかなる法案にも反対する」とツイッター(現X)に投稿した。
副大統領としては昨年、消費者信用情報から医療債務を削除する消費者金融保護局(CFPB)の取り組みを主導した。また今月、住宅ローンサービス会社が苦境に立たされている借り手を支援することを義務付けるCFPBの提案を支持した。
大手銀行はバイデン氏が指名したチョプラ局長が率いるCFPBを激しく批判し、いくつかの規則の撤回を求めて同局を提訴した。
BTIGのボルタンスキー氏は「CFPBの局長は大統領の意向に従って職務を行う」と指摘。「民主党政権になればクレジットカード会社、決済サービス会社、大手ハイテク企業、さらにCFPBが管轄する全ての問題についてチョプラ氏に幅広い裁量権が与えられることになる」との見方を示した。
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