- 2024/07/22 掲載
中国人民銀、予想外に主要金利引き下げ 成長後押しへ
[上海 22日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)は22日、経済成長を後押しするため、主要な短期政策金利である7日物リバースレポ金利と銀行貸出金利の指標となる最優遇貸出金利(ローンプライムレート、LPR)を予想外に引き下げた。
先週発表の第2・四半期(4─6月)国内総生産(GDP)成長率は市場予想を下回る4.7%に鈍化。また、共産党の重要会議、第20期中央委員会第3回全体会議(3中全会)が先週開かれたばかりのタイミングで利下げに踏み切った。
中国はデフレに近づきつつあり、不動産危機の長期化、債務の急増、消費者・企業マインドの低迷に直面している。世界の指導者たちが中国の輸出攻勢への警戒感を強める中、貿易摩擦も再燃している。
マッコーリーの中国担当チーフエコノミスト、ラリー・フー氏は「引き下げは予想外の動きで、おそらく第2・四半期の成長モメンタムの急減速と、3中全会による『今年の成長目標を達成する』との呼びかけを受けたものだろう」と述べた。
人民銀は、期間7日のリバースレポ金利を1.8%から1.7%に引き下げると発表。公開市場操作のメカニズムを改善する方針も示した。
その数分後にはLPRを同じく10ベーシスポイント(bp)引き下げると発表。1年物LPRは3.35%に、5年物LPRは3.85%に下げた。
市中銀行への資金供給手段である常設貸し出しファシリティー(SLF)の金利も10bp引き下げるとした。
BNPパリバの中華圏通貨・金利戦略責任者、ジュ・ワン氏は、米連邦準備理事会(FRB)による利下げ開始への期待の高まりが人民銀に金融緩和の余地を与えたと分析した。
新華社は人民銀に近い匿名の関係筋の話として、「断固とした」利下げは景気回復を後押しする決意を示したものであり、今年の成長目標を達成するという3中全会の意向に沿ったものだと伝えた。
人民銀は融資プログラムにも調整を加え、中期貸出ファシリティー(MLF)融資の担保要件を今月から引き下げると発表した。
アナリストによると、これにより銀行は担保として保有する長期債を減らし、取引などに回すことができる。長期金利の下限を設定し、債券バブルを抑制し、利回り曲線をよりスティープにする人民銀の目的にも寄与するという。
利下げを受けて人民元は下落し、一時は1ドル=7.2750元と約2週間ぶりの安値を付けたが、その後下げ幅を縮小した。
中国の国債利回りは幅広い年限で低下。10年物と30年物は一時3ベーシスポイント(bp)低下したが、その後はそれぞれ2.24%、2.45%で安定的に推移している。
上海保銀投資管理(ピンポイント・アセット・マネジメント)のチーフエコノミスト、張智威氏は「人民銀がFRBの利下げを待たなかったのは、政府が中国経済への下押し圧力を認識しているということだ」と指摘。FRBが利下げ局面に入った後にさらなる引き下げがあると予想した。
人民銀は声明で、金利引き下げは「実体経済への支援を改善するため、カウンターシクリカル(反循環的、逆周期)調整を強化する」ことが目的だと述べた。
新華社は関係筋の発言として、「これは市場志向の金利メカニズムの改善も反映している」と伝えた。
人民銀はこれまでに金融政策の波及経路を強化する方針を示しており、潘功勝総裁は先月、7日物リバースレポ金利が主要政策金利の機能を果たしていると説明した。
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