- 2024/07/04 掲載
アングル:日経・TOPIXがダブル最高値、物色に広がり 「バブル呪縛」脱却
[東京 4日 ロイター] - 4日の東京株式市場では、出遅れていたTOPIXが34年半ぶりに史上最高値を付けた。バリュー(割安)株の影響を受けやすいTOPIXの高値更新は、物色の広がりを示すと受け止められている。この日は日経平均も3カ月ぶりに終値ベースの最高値を上回り、名実ともに「バブルの呪縛」から解放されたとの声が聞かれる。
TOPIXは寄り付き直後に新高値を更新した。業種別の値上がり率上位には景気に敏感な非鉄金属や海運、輸送用機器が並んでおり、東海東京インテリジェンス・ラボの平川昇二チーフグローバルストラテジストは、米大統領選でのトランプ優位を織り込む物色と指摘する。「財政拡大を通じた米景気の改善を先取りする動きだろう」との見立てだ。
一方、日経平均は終値ベースの過去最高値を上回って推移。前日の米ハイテク株高を受けて国内の半導体関連やハイテク株といった指数寄与度の高い銘柄の堅調な推移が指数を押し上げており「(バリューもグロースも)どちらも上がる局面になった」(平川氏)と受け止められている。
TOPIXの新高値は、先立って3月に高値を更新していた日経平均からは約3カ月遅れとなる。TOPIXの新高値を受けて「名実ともにバブルの呪縛から解き放たれることになる」と、しんきんアセットマネジメント投信の藤原直樹シニアファンド・マネージャーは指摘する。
高値到達までの日経平均とTOPIXの時差の背景には、両指数の特徴の違いがある。
半導体関連やハイテクといったグロース寄りの銘柄の寄与度が大きい日経平均は1─3月、米早期利下げへの思惑や生成AI(人工知能)人気が高まる中で、米エヌビディアの上昇を受けた東京エレクトロンやアドバンテストなど、寄与度の高い半導体関連株の上昇が先導する形で新高値を取った。
TOPIXの寄与度トップはトヨタ自動車、2位は三菱UFJフィナンシャル・グループで、10位までに商社が2社入る。バリュー株が上位にあり、グロース株高による押し上げ力が相対的に限られたことが、高値奪取の面での出遅れにつながった。
足元では、国内インフレを背景とした日銀の追加利上げへの思惑がある中、金融株の上昇が指数押し上げの原動力となったほか、東証による資本効率改善要請に呼応する上場企業の動きもバリュー株を支えてきた。「米国依存の株高から、国内材料に目が移ってくる中でのTOPIX新高値の意義は大きい」(藤原氏)という。
両者のパフォーマンスをみると、1─3月は日経平均が20.6%上昇し17.0%高のTOPIXを上回っていたが、3日終値時点では、日経平均の年初来の上昇率21.2%高に対し、TOPIXが21.3%高と、逆転した。
<バリュー優位の持続力>
目先は米国での利下げ期待が再び高まって金利上昇は一服となっているが、金利高止まりの中では、バリュー株は選好されやすい。日銀の早期政策修正への思惑が継続する中で、金融株も底堅い値動きが見込まれる。
「足元の日経平均は半導体関連銘柄に左右されやすく、ボラティリティーが高い。日本株の底上げ基調が強まる中、TOPIXは安定的に優位性を保てるだろう」と三井住友トラスト・アセットマネジメントのチーフストラテジスト・上野裕之氏は見込んでいる。
バリュー株高の一翼を担った、東証による企業の意識改革は、道半ばといえる。TOPIX構成銘柄に占めるPBR1倍割れ銘柄数は、23年1月の5割超からは低下基調にあるものの、依然として4割超が該当している。
「裏を返せば、上昇余地はありそうだ。ただ、そのためには株主還元や資本の効率的な運用といった企業側の取り組みの広がりが欠かせない」と、しんきんAMの藤原氏は話している。
(平田紀之 取材協力:佐古田麻優 編集:橋本浩)
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