- 2024/07/03 掲載
政府の規制権限巡る米最高裁判決、FRBの監督に不確実性
[2日 ロイター] - 米連邦最高裁判所が6月28日、規制を巡る法律が曖昧な場合は政府機関に解釈を委ねるとした過去の判例を無効とする判断を下したことで、連邦準備理事会(FRB)の監督権限は一段と不確実になり、潜在的なリスクが高まる。ただ、金融機関がストレスにさらされた場合にFRBが市場の支援に動く能力が損なわれることはないとみられる。
専門家によると、最高裁の今回の判決によってFRBの規制に関する判断を巡って訴訟が起こされて予測不可能な結果をもたらし、FRBと監督対象である金融機関の関係が長期にわたり不安定になる恐れがある。
学界関係者の間には金融システムの安全性が低下するとの指摘もあるが、緊急時にFRBが市場を支援する法的基盤には影響しないとの見方が大勢だ。
コロンビア大学ロースクールのキャサリン・ジャッジ教授は、判決の現時点における主な影響は「不確実性の高まり」であり、関係者は裁判所の関与が増す事態に適応することになると指摘。FRBが積極的に規制に動けば銀行が反発する可能性が高く、FRBは規制に消極的になるかもしれないが、裁判所は必ずしも銀行寄りの判断を下すとは限らず、規制が導入できるかどうかを予想するのが難しくなる、との見方を示した。
元ニューヨーク連邦準備銀行首席弁護士のマイケル・ヘルド氏はFRBの広範な規制業務について「FRBはその専門知識に基づいて大量の裁量権を享受してきたが、そういう時代は終わった」と述べた。
ヘルド氏は、FRBは今後裁判官に「理解してもらうのが容易で、正当化が可能な」規制を目指すことになりそうだが、それでも「金融業界では好ましくない規制に対して訴訟を起こす機運が高まる」と予想した。
FRBは最高裁判決が銀行監督業務に与える影響についてコメントを避けた。
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