- 2024/06/22 掲載
アングル:米信用スプレッド、3カ月ぶり高水準 仏政局不安で「質への逃避」
[ニューヨーク 21日 ロイター] - 米国市場で、投資適格社債と国債の利回り差(信用スプレッド)が3カ月超ぶりの高水準に拡大している。フランスの政局不安を背景にリスク回避が強まっているほか、米債利回りの低下が寄与しているという。
高格付け債のベンチマークであるICEBofA米投資適格債指数のスプレッドは、今週96ベーシスポイント(bp)と3月中旬以来の高水準を記録。一方、北米企業の信用リスク指標であるマークイットCDX北米投資適格指数のスプレッドは、21日に一時54bp超と5月1日以来の高水準を付けた。
バークレイズのストラテジストは21日付のリポートで、米社債への売りはフランスの政局不安による「質への逃避」が一因で、投資家はより安全な米債に資金をシフトさせているとした。
米インフレ統計で予想以上の減速が示されたことも米債利回りの今月の低下につながっているという。
指標10年債利回りは足元で4.269%と5月末の4.554%から低下。USバンクの債券セールス・トレーディング責任者、ブレア・シュウェド氏は「投資家は信用リスクを取ることに対する見返りをもう少し求めるようになった」と述べた。
それでも信用スプレッドは過去に比べて引き続き低水準にとどまっている。借り入れコストが高水準で推移しているにもかかわらず、米経済が底堅く推移している上、将来的な金利低下が見込まれているためだ。昨年同時期の投資適格債のスプレッドは135bpだった。
BMOキャピタル・マーケッツの債券戦略担当ディレクター、ダニエル・クリーター氏は、社債に対する押し目買いの好機なのか、それともスプレッドの新たな取引レンジへの移行なのかを結論付けるには時期尚早と指摘。「フランスの選挙が終わるまで答えは分からない。少なくともこのイベントリスクが過ぎ去るまではスプレッドは大きく変動しないだろう」と述べた。
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