• 2024/05/29 掲載

IMFがドイツに「債務ブレーキ」緩和を提言、財務省は否定的

ロイター

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Maria Martinez

[ベルリン 28日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)は28日、2024年の対ドイツ経済審査報告を発表し、政府は歳出増加の圧力を受けており、財政赤字を厳しく制限する「債務ブレーキ」の緩和を検討するべきだと提言した。ただ、財務省関係者はインフレ加速への影響から否定的な見解を示した。

ドイツ政府は昨年11月、新型コロナウイルス対策の未使用資金600億ユーロを温暖化対策などに振り向ける計画が憲法裁判所によって凍結を命じられ、歳入計画の枠組みが混乱に陥ったばかり。

審査報告は歳入を増やす改革も必要と指摘。「債務ブレーキは比較的厳しい水準に設定されており、公的債務残高の対国内総生産(GDP)比を低下傾向のまま維持しつつ、歳入を超える政府借り入れの年間上限を対GDP比で約1%ポイント緩めることが可能だ」と踏み込んだ。ブレーキ緩和により公共投資を拡大する余地ができると強調した。

報告によると、ベビーブーマー世代がリタイアし、最近の移民の波が沈静化するにつれ、ドイツの生産年齢人口の年間増加率は約0.7%ポイント低下すると見込まれ、主要7カ国(G7)の中では最悪となる。経済成長率も影響を受け、25から26年にかけては前年比1.0―1.5%増見通しだが、中期的には約0.7%増に鈍化するという。

このためIMFは、温室効果ガスを大量排出する事業モデルを低炭素化へと移行するグリーントランジションやデジタル化などへの公共投資を増やすことで、中期的な成長見通しを押し挙げられると提言した。

ただ、ドイツの財政規律のルールである債務ブレーキは財政赤字の上限を対GDP比0.35%と制限している。変更するには上下両院で3分の2以上の賛成が必要。

財務省関係筋は「インフレが鈍化し始めたばかりなのに再点火させてしまうリスクがある」と話した。さらに公債が増えると利払い負担も高まると指摘し、IMFのブレーキ緩和提言に否定的な考えを示した。

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