- 2024/03/27 掲載
金融政策の正常化へ一歩踏み出したが、副作用は残る=田村日銀委員
[青森市 27日 ロイター] - 日銀の田村直樹審議委員は27日、青森県金融経済懇談会であいさつし、大規模緩和の修正によって金融政策の正常化へ第一歩を踏み出したとは言っても「副作用も残る状況が続いている」と述べた。先行きゆっくりと、しかし着実に金融政策の正常化を進め、異例の大規模金融緩和を上手に手じまいしていくために「これからの金融政策の手綱さばきはきわめて重要だ」と語った。
田村委員は引き続き2%物価目標の持続的・安定的な実現の観点から、経済・物価・金融情勢に応じて適切に金融政策を運営していくと述べた上で、「現時点の経済・物価見通しを前提にすると、当面、緩和的な金融環境が継続する」と指摘した。
四半世紀にわたる金融緩和を振り返り、「経済の下支え役として一定の効果があった」とする一方で、メガバンクに在籍していた自身の経験を踏まえ「コンマいくつの限界的な金利の低下によって、設備投資など、企業活動が活発化する様子はあまり感じられなかった」と話した。ほとんど金利がない世界では、金利の上げ下げを通じて需要を調整し、物価に影響させるという金利の機能は限界的だったとした。
その上で、貸出金利が上昇することでビジネスの新陳代謝を促したり、市場における自由な金利形成が経済や物価、政府の財政状況を示唆するといった、本来金利が果たすべき機能が低金利の継続で低下してしまっていたことを「しっかりと認識しておく必要がある」と語った。
(和田崇彦)
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