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- 2020/07/22 掲載
不動産会社が語る飲食店の今、「閉店ラッシュはしばらく止まらない」
読めない客足、ばかにならない「食材ロス」
6月中旬に、「東京アラート」が解除され、徐々に人出が戻ってきた感のある東京都内の飲食店。しかし、7月2日に緊急事態宣言が解除されてから初めて新規感染者が100人を超えてからはまったく様相が異なる。
東京都内の新規感染者の拡大傾向はとどまるところを見せず、7月9日224人、10日243人、11日206人、12日206人と4日連続で200人を超えた。この感染者数の拡大に合わせるように、都内飲食店は、再び苦しい経営を迫られている。
東京都新橋にある居酒屋店主は思いつめた様子でこう語る。
「“東京アラート”が解除されて、徐々にお客さんが戻り始めてきたなと感じ始めたのが6月下旬です。お客さんが戻ってきたとはいえ、例年の6割程度ですが、一番ひどいときには例年の1割ほどにまで落ち込みましたので、それを考えれば希望が持てました。ただ、ここ数日の新規感染者は200人を超えているでしょう。毎日夕方に新規感染者数が発表されますが、やはり新規感染者が多い日は街の人出も減り、キャンセルも多くなります。前回の自粛要請のときは持続化給付金や各種の補助金で何とか乗り切りましたが、次は難しいでしょう」
この店主によると、家賃や人件費も痛いが食材ロスの費用もばかにならないという。
「不動産会社を介してオーナーに交渉をしてもらい、当面の家賃は減免してもらうことができました。人件費の面では、アルバイトスタッフに休んでもらって、私たち夫婦が一日中店に出ることで何とか持っています。このような状況になって一番痛いのが、食材の仕入れの予想が立てられないことです。たとえば、30人の予約があって人数分の食材を仕入れたとしましょう。その日の夕方に200人を超える新規感染者が発表されると、キャンセルになってほぼすべての食材がムダになってしまう。こういったことは7月上旬だけで3回ほどありました」
新橋駅前で20年以上続く、人気居酒屋。煮込みが名物で、多くのサラリーマンの疲れを癒やしてきた名店だ。「どうしてものときは、破産するしかないでしょうね」と、この店主はなかば諦めたように話す。
【次ページ】不動産会社が語る飲食店の今、撤退の相談は急増
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