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一度は新型コロナウイルスの感染拡大が収まりつつあった東京都。しかし、このところ再び感染者数が増え、連日、100人を超える新規感染者が報告されている。感染者が毎日のように増え続けるなか、心配されているのが再びの営業自粛要請だ。9日、「都は休業要請に応じた場合は最大50万円の協力金を支出する方向で調整中」と報道されたが、本当に飲食店を支えることができるのか。前回の営業自粛要請で特に甚大なダメージを被った小規模飲食店に、不安の声を聞いた(取材は6月中に行ったもの)。
連日100人を超える東京都の新規感染者
東京都の新型コロナウイルス感染者数は、4月17日の206人をピークにゆるやかに減少に向かい、5月23日には2人まで抑え込むことに成功した。このまま、新型コロナウイルスが収束するのではと、誰しもが大きな期待をもったはずだ。しかし、5月25日に政府が緊急事態宣言を解除した後、にわかに増大に転じる。6月後半からは連日50~60人の新規感染者が報告されるようになった。7月に入っても感染拡大は収まるどころか高止まり傾向にあり、東京都だけで連日100人を超える新規感染者が報告されている。
感染者数のグラフ曲線をみると明らかなように、このところの新規感染者数の拡大は4月上旬のそれとそっくりだ。そうなってくると心配されるのが、再びの営業自粛要請。特に、前回の営業自粛要請で甚大な被害を受けた小規模飲食店の不安の色は濃い。
批判は覚悟、「次は店を開け続けるしか」
「前回は営業自粛要請に仕方なく応じましたけど、次に出されたら応じるかどうかわかりません」と話すのは、東京都心でイタリアンレストランを経営するオーナーシェフ。イタリア修行帰りのオーナーシェフが作る伝統的なイタリア家庭料理が好評で、予約の取れない人気店として知られている。
営業自粛要請を受けて、4月からは営業時間を短縮し、テイクアウトに比重を移してきた。「テイクアウトの売上は予想したよりは健闘しましたが、利益率の高いドリンクメニューが出ないことが非常に痛かったです。結果的に、6月中旬に通常営業を再開するまで売上は前年比の5分の1にまで減りました」
前回の営業自粛はもともと蓄えていた店の貯金に加えて、オーナーシェフ個人の資金を取り崩すことで何とか乗り切った。しかし、次は……。
「次に、前回と同様の営業自粛を要請されても、受けるかどうかは現時点では決めかねています。私もスタッフも生きていかなければなりません。店の貯金も個人の貯金も底をつきかけた今、我々が生きていくためには店を開け続けるしか選択肢は残されていないのです」
自粛要請に応じない店や個人に対しての私的制裁、いわゆる自粛警察が話題となったが。「ある程度の批判があることは覚悟しています」と、悲壮な決意で話す。
【次ページ】「次に緊急事態宣言が出されたらもう終わり」
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