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  • 2020/07/20 掲載

禁句!なぜビジネスでは「行間を読む文章」はダメなのか?

連載:マーケティング・コピーライター直伝とっておきの文章術

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仕事で使う文章は大きく分けて2種類あります。1つ目は一方的に知らせるだけでいい文章、2つ目は相手に行動してもらうことが必要な文章です。ビジネスで重要なのは2つ目でしょう。人を動かすためには、こちらがどう思って書いているのかではなく、読み手がどう受け取ったのか、それによりどういう行動を促すことができたのかが大切です。今回はなぜビジネスでは「行間を読む文章」がダメなのかを解説するとともに、相手に正しく伝えるコツを紹介していきましょう。
執筆:神田昌典、衣田順一

執筆:神田昌典、衣田順一

神田昌典(かんだまさのり)
経営/創造的課題解決コンサルタント
アルマ・クリエイション 代表取締役
日本最大級の読書会『リード・フォー・アクション』発起人
特定非営利法人 学修デザイナー協会 理事
上智大学外国語学部卒。ニューヨーク大学経済学修士、ペンシルバニア大学ウォートンスクール経営学修士。大学3年次に外交官試験合格、4年次より外務省経済局に勤務。戦略コンサルティング会社、米国家電メーカーの日本代表として活躍後、1998年、経営コンサルタントとして独立。『GQ JAPAN』(2007年11月号)では、“日本のトップマーケター"に選出。2012年、アマゾン年間ビジネス書売上ランキング第1位。2018年、マーケティングの世界的権威のECHO賞・国際審査員。現在、ビジネス分野のみならず、教育界でも精力的な活動を行っている。

衣田順一(きぬたじゅんいち)
アルマクリエイションズ コンテンツ戦略室 ディレクター

鉄鋼メーカーの住友金属工業(株)(現・日本製鉄(株))入社。国内・海外の自動車、大手家電など製造業向け営業を15年。営業企画部門で、新規のビジネスモデル構築とシステム構築を6年。会社合併後の営業系の業務システムの統合を6年。営業室長、企画部上席主幹(部長級職位)として組織をリード。脳性麻痺の子供への対応からテレワーク(在宅勤務)を志向。時間と場所の自由が効く、セールスライターという仕事に出会う。商品の魅力を文章で表現し、クライアントと買った人両方に喜んでもらえる点に惹かれ、同時に営業と企画の仕事との共通点も多く、これまでの経験も活かせると考え、セールスライターになる。現在は、アルマ・クリエイション株式会社及びクライアントのLP(ランディングページ)のライティングやアルマ・クリエイション株式会社のコンテンツ戦略の立案・実行を担当)

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人を動かす文章とはどのようなものなのか?
(Photo/Getty Images)

禁句!「そういう意味じゃなくて…」

 前回、仕事で使う文章には大きく分けて2種類があるとお話ししました。

タイプ(1)一方的に知らせるだけでいい文章
タイプ(2)相手に行動してもらうことが必要な文章

 たとえば「システムメンテナンスのお知らせ」というのは、(1)の知らせるだけでいい文章です。ただし、「この時間帯はホームページにアクセスしないでください」という場合は、「アクセスしない」という行動をしてもらわないといけないので(2)に該当します。

 (1)の場合でも、書き手の意図が正しく伝わらないと意味がありません。書き手が自分の好きなように書いているだけだと、日記と同じですが、何かを「伝える」ためには、「はっきり伝わるように書く」必要があります。

 また(2)の場合は、読み手が「で、どうしたらいいの?」あるいは「何をして欲しいのか?」ということがはっきりわからないといけません。

 この2つに共通している要素は「はっきり書く」ということです。今回はこの「はっきり書く」ということについてお話しします。

 まず、これに関連した話を少し。「心霊写真」というのをご存知でしょうか?TV番組でたまにやっていますが、集合写真などをよく見ると、そこにいないはずの人物(らしきもの)の顔や手が写っているというもので、その「写っているもの」が、実は霊で云々という「専門家」による解説がなされ、一同「キャーッ」となるのが、この手の番組です。

 写真が出てきたときは、みんな何も気づきませんが、「専門家」が「左から2番目の人の肩の部分に」などという解説をすると、その部分が赤い丸で囲まれたりして初めて「キャーッ」となります。

 話を戻しますと、心霊写真と、意図が伝わらない文章には共通点があります。それは、

  1. パッと見ただけではわからない
  2. 説明されないとわからない
  3. 最悪なのは、説明されても、そう言われば、何となくそんな気がするという程度にしかわからない

 このような状況になっていると、書き手の言いたいことを、読み手に伝えることは不可能です。

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書き手の言いたいことを正しく読み手に伝えるには?
(Photo/Getty Images)


解説が必要な文章・書類では意味がない

 よく、「ここに書いてあるのはこういう意味で」など、文章や書類を補足説明する人がいます。また、書かれた資料をもとに議論すると、意見が食い違って、

「いや、ここで言っているのはそういうことじゃなくて、こういう意味でして……」 「何だそういうことか」

 と、こういうやり取りは結構頻繁にありますが、これは書き手の意図が伝わっていない典型例です。

 議論や説明ができる場合は何とかなっても、文章というのは多数の人に同時に伝える手段として使われることが多く、いちいち個別に解説や説明する機会がない場合が圧倒的に多いものです。だから、それを「読めばわかる」ようになっていないと意味がないのです。

 「それは、読み手の問題では?私はちゃんと書いている」と、自信をもって主張される方もおられるかもしれませんが、ここが大きな勘違いで、コピーライティングでは、「読み手がどう思うか」がすべてなのです。普通の文章でもそれはまったく同じで、「読み手がそう受け取った」=「そう受け取られるような書き方だった」ということなんですね。

 だから、「ここに書いてあるのは、Aという意味じゃなくて、Bという意味なんです」という説明はまったくナンセンス。最初から「Bです」ということが伝わるようになぜ書かない=書けないのか、ということが問題になってくるのです。

 心霊写真のように、よく見ないとわからない、よく見れば確かにそんなようにも見える、というような文章ではなく、誰が見てもはっきりわかるように書くことがポイントです。

【次ページ】行間を読ませるな!
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