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パーソル総合研究所が行った、ビジネスパーソンの意識調査が「衝撃的な内容だ」と話題になっている。諸外国と比較して、日本人の仕事に対する意識があまりにも低いという結果が出ているのだが、これは何が原因だろうか。
「管理職になりたい」意思が突出して低い
人材大手パーソルグループの調査会社パーソル総合研究所は2019年8月27日、アジア太平洋地域における就業意識調査の結果を発表した。日本人ビジネスパーソンは、あらゆる面において仕事に対する意識が最下位という衝撃的な内容であり、日本が直面している厳しい現実を浮き彫りにする結果となった。
この調査は、アジア太平洋地域で働くビジネスパーソンを対象としたもので、国ごとに1000人を抽出して行われた。主な調査項目には、上昇志向、学習、ダイバーシティ(職場における多様性)、転職などがある。
まず上昇志向についてだが、日本人ビジネスパーソンの中で「管理職になりたい」と考える人の割合は21.4%となっており、14カ国中最も低かった。「会社で出世したいか」という似たような質問項目でも、日本は最下位となっている。
一般に、仕事に対する意識調査では、成長著しい新興国ほど前向きになり、成熟した先進国は結果が低めに出ることが多い。本調査でも、その傾向ははっきり見て取ることができ、日本の次に出世意欲が低かったのはニュージーランド、次いでオーストラリア、シンガポール、香港、台湾と続いている。1位となったのはインド、2位はベトナムなので、新興国ほど前向きになるというのはほぼ間違いないだろう。
だが注目すべきなのは順位ではなく数値である。
日本人の中で管理職になりたいと考える人の割合は21.4%と述べたが、ニュージーランドにおいて同様に考える人の割合は41.2%と日本の2倍近くもある。日本の14位とニュージーランドの13位は、順位的には近いかもしれないが、数値には相当な開きがあるのだ。
ほとんど学習しない日本人
自己研さんについても、かなりショッキングな結果となっている。勤務先以外での学習や自己啓発について「何も行っていない」という人の割合は、日本人は46.3%となっており、各国の中で断トツに高い。何も行っていないという人の割合が高めだったオーストラリアやニュージーランドでも20%台なので、ここでも日本人だけが突出した状況となっている。
日本人の学習意欲が低いことは、ほかの調査結果からも明らかなので、ほぼ間違いないと思って良いだろう。一部からは、企業内での研修が充実しているので学習する必要がないという反論も聞こえてくるが、この話も事実ではない。
労働経済白書によると日本企業における人的資本への投資はマイナスが続いている。2006年から2010年にかけて、米国は平均3%、ドイツは2%程度の人的資本投資の増加率があったが、日本はマイナス10%と教育投資を大きく減らしている。企業内で学べているので問題はない、という議論はまったく成立しない。
調査対象となったビジネスパーソンの属性について見てみると、日本人の正社員比率は47.3%と他国に比べてかなり低い。平均年齢は44.4歳と他国とほぼ同じだったが、既婚率は55%と異様に低い。
日本では正社員と非正規社員との間には大きな断絶があり、職場の環境や賃金があまりにも違い過ぎる。現実問題として、日本において非正規社員として就業してしまうと、昇進や昇給の見込みがほとんどゼロという状況になるため、仕事に対する意欲は高まりにくい。
この調査はサンプル調査なのだが、日本の非正規社員比率が高く出ているということは、いわゆるホワイトカラーの職場においても、相当な数の非正規社員が働いていることを意味している。
諸外国の場合、日本の非正規社員に相当する契約で働く人たちは、あくまで補助的な作業か、期間限定の業務に従事している可能性が高い。だが、日本の場合、コスト削減の一貫で、仕事の内容を変えないまま契約だけ非正規に移行した人も多く、結果として仕事に対する意欲に深刻な影響を与えている。
日本人の既婚率が低いのも賃金が安いことが原因と考えられるが、この状況で高い意欲を持てという方が難しいだろう。ちなみに日本全体では非正規労働者の数は2120万人で、全従業員の約4割に相当する。
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