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海外ではCMO(Chief Marketing Officer)という役職は一般的だが、日本では、CMOという言葉自体が、まだそれほど知られていない。実際に役職を置く企業も少ないようだ。しかし、CMOは企業のトップと変わらない影響力があるという。メルカリ、日本ケンタッキー・フライド・チキン、DoCLASSE、ベイシア流通技術研究所と、異なる業界・業種で活躍する4名のトップマーケターが、CMOの役割や苦労などについて活発な議論を交わした。
CMOとは何か? 企業においてCMOが担う本来の役割とは?
今回、司会を務めたベイシア流通技術研究所の竹永 靖氏は、ベイシアグループに属しており、グループ全体のICTを推進する立場だ。同グループは、全国展開するホームセンターの「カインズ」や、スーパーマーケットの「ベイシア」、作業服・関連用品の専門店「ワークマン」などを擁する企業として知られている。
パネリストには、飲食分野から日本ケンタッキー・フライド・チキン(以下、KFC)の中嶋 祐子氏が参加した。同氏は、日本だけでなく、海外での勤務経験も持つマーケターだ。またアパレル分野からは、カタログ通販やECなどを展開するDoCLASSEの藤原 尚也氏が登壇した。C2C分野からは、メルカリの村田 雅行氏も議論に加わった。
最初の議論にあたり、ベイシアの竹永氏が「そもそもCMO(Chief Marketing Officer)とは何か?」と、その定義と役割について、各パネリストに確認した。
「言うまでもなく、CMOはマーケティングの責任者ですが、さらに限られたリソースで利益を最大化するという点では、経営と同じ役割」と語るのはメルカリの村田氏だ。
つまり、企業のビジョンやミッションを示すのがCEOであり、それ以外のところを担当するのがCMOというすみ分けだ。そういう意味では、CMOは非常に重要なポジションである。しかし、まだ日本では、CMOという独立した役職がない企業がほとんどだ。実際に会場アンケートでも、わずか3人しか手が挙がらなかった。
DoCLASSEの藤原氏は「企業内で市場やユーザーの目線で戦略を練り、ビジネスを動かせる唯一の役職がCMOだと思います。我々の課題は、カタログ通販の売上を伸ばすこと。同時に顧客の質を変え、新規顧客を増やしていくことも求められます。そのためにデジタルマーケティングにシフトし、ターゲット層を変えていく必要があります」と説明した。
またKFCの中嶋氏も「大局的な考え方で、消費者と同じ目線で新しい道を切り拓くのがCMOの役割。既存店の売上と顧客数を伸ばし、皆さんに来てもらうことが最も大事な仕事です」というように、いずれも企業にとって欠かせない存在という認識だ。
良いCMO、普通のCMO、悪いCMOは何が違う?
企業内で非常に重要な役割を担うCMOだが、彼らの判断や施策の良し悪しによって、企業の業績も大きく左右されることになる。では、具体的に「良いCMO、普通のCMO、悪いCMOとはどんな人なのか」と竹永氏が各パネリストに問うた。
前職でシンガポールに赴任した経験のあるKFCの中嶋氏は、6年間に3人もCMOが変わったという。その中で、良いCMOとして、最初のインド人の上司を例に挙げた。
「この方は現在、ピザハットのトップに就いています。当時からブレないCMOでした。本当にやるべきことは最後までやり切れ、と常に言っており、目的を達成するために強い信念を持つ人でした。一方、悪いCMOは、将来の展望がなく、現在の立場に甘んじてしまう人だと思います」(中嶋氏)
【次ページ】DoCLASSE藤原氏、メルカリ村田氏の明かす「良いCMO、悪いCMO」
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