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- 2017/01/30 掲載
トランプ大統領はEU版TPP「大西洋横断貿易投資パートナーシップ協定」をどうする?
欧州版TPP「TTIP」は消えるのか
TTIPとは、EUと米国の間の貿易、食品の安全に関わる法律、環境規制、銀行規制、各国の主権といった壁を取り払うことを目的とした協定で、2013年から交渉されてきた。日本貿易振興機構の調査によると、EUは市場アクセスに関し、(1)関税を含む商品貿易、(2)サービス、(3)公共調達、の3主要分野で成果を出そうとしているという。
ブライトバート・ニュース・ネットワークによると、セシリア・マルムストローム欧州委員(貿易担当)は「ドナルド・トランプ氏が大統領に選ばれたことで、EUと米国の交渉が少なくとも一定の間、凍結されることになりそうだ」「しかし、米国が我々にとって最も大切なパートナーであるとしても、そして必要なパートナーであるにしても、世界は一国よりも大きい」と発言している。
英国の保守系シンクタンクBow Group チェアマンのベン・ハリス=キンリー氏がブライトバート・ニュース・ネットワーク ロンドン支局に伝えたことによると、2016年は多国間の多角的ブロックから2国間貿易の関係へと戻った年だった。英国のEU離脱決定前も、トランプ氏の大統領就任前でも、TTIPは死んだようなもので、今は死んで埋められたようなものだという。TTIPは右派にも左派にも人気がなく、もし似たようなものが戻ってきても、今とは異なる形で、何年も何年もしてから登場するだろう、としている。
EUと米国両サイドから見るTTIP
では、欧州と米国では、TTIPはどのように受け止められているのか。European Council on Foreign Relations、Stiftung Mercator 財団、Dalia Researchは2016年11月と12月、EUで1万1283名、米国で1052名を対象とした調査を行い、28のEU国と米国でのTTIPの受け止め方、さらにはトランプ政権成立の反応を分析した。以下がその内容だ。調査によると、73%の米国の回答者が、欧州にとって米国は価値ある仲間とみている。米国よりもTTIPをあてにしている、ある欧州の回答者は、米国より少々割合の低い67%が米国を価値ある仲間とみなしている。数値に差はあるものの、多数派はTTIPを重要視していることになる。
【次ページ】EU国民と米国民はトランプ政権をどう見ているのか
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