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- 2017/03/23 掲載
トランプ政権下で「第4の波」が誕生か? 米国の「コーヒーカルチャー」の歴史を学ぶ
三つの波がコーヒーを成熟させる
そのコーヒーの本場米国で、月間150万PVを超える珈琲サイト「I love Coffee」を運営する岩田リョウコ氏は著書「シアトル発 ちょっとブラックな珈琲の教科書」の中で米国のコーヒー事情についてこう語る。
「最近の米国ではコーヒーを飲む人たちが、豆はどこから来たのかどこの農園で育ったのか、だれが輸入して、誰が焙煎したのか、どのように淹れるのかなどコーヒー自体に興味を持ち始め、ワインやクラフトビールのように扱うようになってきています」
サードウェーブという言葉を聞いたことがあるだろうか。コーヒー業界には大きく3つの潮流があるといい、岩田氏は、ファーストウェーブからサードウェーブまでの歴史について解説する。
第一の波であるファーストウェーブは、19世紀後半から1960年代における、インスタントコーヒーなどの普及により家庭やオフィスで広まったコーヒーブームだ。
「味は薄くて酸っぱめ。質や味より量の時代で、砂糖やミルクをたくさん入れて味を調整する人が多かった時代です」(岩田氏)
セカンドウェーブは、1960年代後半から1980年代にかけてのスターバックスなどのシアトル系コーヒーに代表される品質の良い豆を使ったコーヒーによるもの。岩田氏によると消費するコーヒーから「楽しむためのコーヒー」に取って替わったのだという。
そして現在、米国から日本にも伝播しているブームがサードウェーブである。日本でも、東京・清澄白河でオープンしたブルーボトルコーヒーが長蛇の列を作ったことは記憶に新しい。
サードウェーブはセカンドウェーブから進化したコーヒーで、高品質な豆を使う。さらに、淹れ方や厳選された器具により、味や風味を楽しむ、いわゆる「真価を味わうためのコーヒー」を指す。ラテアートなど視覚で楽しむ飲み方も特徴の一つだ。
お気づきかもしれないが、サードウェーブコーヒーの特徴は、以前から日本の喫茶店で嗜まれてきたコーヒーとあまり大差がない(ラテアートはなかったが…)。サードウェーブコーヒーは、スターバックスをはじめとした米国発のオシャレなコーヒーショップの文化を土台にしたことで、日本で新たなブームとなった。米国の「パッケージ」の作り方は、日本よりもいくらか上手である。
【次ページ】コーヒーカルチャーと米国経済の関係性
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