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- 2016/09/09 掲載
「ターゲティング」と「ポジショニング」の違いとは?
連載:イノベーションのすゝめ(3)
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前回までのお話
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前例があるか?

「前例があるか?」って言われても、そもそも、前例がないからやるんじゃないですか!
全然わかってないですよね。

そうなんだけど、提案としてまだまだ、粗削りだったと思わない?

そりゃ、そうですよ。1時間くらいしか考えてないですから。

そんな提案、亜依ちゃんが経営者でも、承認しないよね。

そりゃそうですよね。

クールダウン。頭冷やして作戦を考えよう。

作戦ですか?

相手は社長さんだよ。「頑張ります!」だけじゃだめだよね。

そうですよね。

どんな情報が足りなかったのかな?
言い換えると、経営者としてどんな情報が欲しいのかな?

そうですねー、経営者は、会社が儲からないといけませんよね。

そうだね、それから。

それからって? それだけじゃないんですか?

よ~く、考えてごらん。

……。

亜依ちゃんの会社って、だれのためにあるの?

お客さんですか。

それから?

それからって? お客さん以外にあるんですか?

じゃあ。お客さんと会社があれば、うまくいくかな?

はい。サプライヤーさんと販売店さん。

そうそう、それから?

え~! まだあるんですか?

忘れちゃならないよ。

株主さん!

そうそう。亜依ちゃん自身。従業員もだね。
そういうの、みーんなまとめて「ステークホルダー」って言うんだ。

それで?
ビジネスの大前提はWin-Winモデル

ステークホルダーさんたちは、それぞれの立場でそれぞれの価値観がある。すべてを満足するようなビジネスにしたいよね。
麻雀とかトランプのように、誰かが勝って、誰かが負けるようなやり方は長続きしないよね。このように、勝った人と負けた人が出てしまうのを、ゼロサムゲームっていうんだ。足し合わせるとゼロになる。つまりプラス、マイナスがトントンということ。
これに対して、みんなにとって有益で、皆が満足するやり方をWin-Winモデルっていうんだ。
ビジネスは、Win-Winでなくてはならない。これが大前提。

そうか、みんなが勝つんですね。では、だれが負けるのですか?

だから、負ける人を作っちゃいけないんだ。
負けるとわかっていて協力してくれる訳ないでしょう。

そりゃそうですよね。

すべてのステークホルダーを書きだして、彼らが提供するOUTPUT(お金とか労働とかサービスとか)に対し、受け取るINPUT(金銭、報酬、満足など)を考えてごらん。たとえば亜依ちゃんは、従業員として、労働を提供して報酬を受け取るね。

まぁ、そうですが……。

じゃあ、提供した労働に対して、その報酬で満足している?

う~……。お給料、多い方がいいですけど。
今のお給料で、まぁ、いいか? と思います。

仮に、満足しなかったら、どうなるだろう?

会社辞めるかも知れませんね。

そうそう、さぼったりするかも知れないね。

そうかもしれませんね。

つまり、労働に対する報酬が見合っているから、会社を辞めずに続けられるし、やる気も出てくるよね。もちろん、給料だけじゃなくて、「自分がやりたいことができる幸せ」っていうのもあるけど。
というように、参加するステークホルダーのみんなが、満足するような仕組みを考えなければいけないんだ。

難しいですね~。

そう、難しいんだ。
だから、ステークホルダーとコミュニケーションを取ったり、観察したりして、彼らの価値観を想定するんだ。で、一番わからないのは、お客さんだよね。

……。
【次ページ】 「ターゲティング」と「ポジショニング」
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