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  • 2016/02/29 掲載

なぜディズニーは98%のリピート率を誇るのか? 顧客満足向上に必要な6つの要素

鎌田洋氏が語る

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高い顧客満足を獲得することで、着実に業績を伸ばしている企業がある。こうした企業に共通するのは、より顧客に近い「現場」の最前にまで会社のミッションやビジョンが共有され、一人ひとりが主体性を持って行動している点だ。ヴィジョナリー・ジャパン 代表取締役で『ディズニー そうじの神様が教えてくれたこと』等のベストセラー作家、鎌田 洋氏が登壇し、自ら働いていたディズニーでの経験を交えながら、個人の能力を引き出し、組織の力を強くするための原則を解説した。
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ヴィジョナリー・ジャパン
代表取締役
鎌田 洋氏

「人を喜ばせる」ことがすべての組織運営に通じる理由とは

 人材育成事業を手がけるヴィジョナリー・ジャパンの鎌田 洋氏は、若い頃にカリフォルニア州アナハイムにあるディズニーランドを訪れ、そこで印象的な体験をしたと語る。

「1955年に開演した米国のディズニーランドは、ご存じ、テーマパークの草分け的な存在です。アナハイムは年間降雨日が30日くらいしかなく、とにかくパークのとにかくパークの全体が明るい雰囲気に満ちていたこと、そして、そこで働く人たちがフレンドリーに、楽しそうに働いていたのが印象に残りました」(鎌田氏)

 その後、アメリカ本土以外に、初めてディズニーランドができるというニュースを聞き、鎌田氏は一念発起する。

「務めていた会社を辞め、東京ディズニーランド(オリエンタルランド)の採用試験に挑戦しました。何度も書類選考で落とされ、3年かけて7回受験してやっと、合格しました」(鎌田氏)

 晴れてディズニーランドの社員となった鎌田氏は、カストーディアル(パーク内の清掃を担当するスタッフ)として、主に、閉園後の夜間にパーク内を清掃するトレーナーとして従事する。まったく清掃の知識も技術も持ち合わせていたかったのだが、米国のディズニーランドの初代カストーディアルマネージャーチャック氏に師事しながら、ディズニー流の清掃を体得していった。

「チャック氏に最初に渡されたのが『手鏡』で、『これで清掃後の便器の裏側をチェックするよう、すべてのカストーディアルスーパーバイザーに持たせなさい』といわれました。ディズニーの掃除のビジョンは『床にこぼしたポップコーンをそのまま食べられるくらいにキレイにする』ということで、私はその妥協を許さない徹底さに驚くと同時に、とてもやる気に燃えました」(鎌田氏)

 その後、社員2,500人と10,000人キャストの教育のマネジャーを経て、1997年に外資系のコンサルタント会社に転職、1999年にヴィジョナリー・ジャパンを設立する。鎌田氏は、ディズニーランドで学んだこととして組織と個人の効果性を高める原則をあげている。

「人を喜ばせることはビジネスの原点であり、人生の喜びでもあります。これこそが『ディズニーの成功法則』であり、すべての組織運営や個人の生き方に応用できると考えました」(鎌田氏)

悪いクチコミほどよく伝わりやすい「顧客の事前期待」とは?

 では、顧客満足(CS)の正体とは一体何か。鎌田氏は、企業が顧客志向にシフトしなければならない背景として次のことをポイントに挙げる。

「経済のグローバル化、新興国の台頭によるインバウンド旅行客の増加、情報インフラの整備と高度化などにより経営環境は変化し、さらに顧客ニーズは多様化、高度化しています。こうした状況下で企業は、“マーケットイン”の考え方で戦略を考えていく必要があります」(鎌田氏)

 顧客満足の一例として、鎌田氏は「リピート率」を挙げる。たとえば、東京ディズニーランドのリピート率を例にとると、2回以上来園している顧客は98%、10回以上は約60%、30回以上のヘビーユーザーの割合は約20%(12年前のオリエンタルランドの調査結果)といわれる。

 多くの企業が既存顧客の囲い込みに知恵を絞る中で、オリエンタルランドが売上高4,663億円、営業利益率23.7%(2014年度)という好業績を挙げる秘訣はどこにあるのだろうか。

 鎌田氏は、クチコミの波及効果と人間の心理についてヒントを示した。

「ジョン・グッドマンの法則によると、好意的な体験をしたお客様は、そのことを4〜5人の人に話すが、非好意的な体験をしたお客様は9〜10人に話すといわれます。また、20人以上の人に話す割合は12.3%にのぼるともいわれ、悪いクチコミほど良く伝わりやすいことがわかります」(鎌田氏)

 また、苦情処理(クレーム対応)の満足度と再購入率の関係も示された。これによると、迅速にクレームが解決した場合、再購入率は82%にのぼるが、不満だった場合は19%に下がり、さらに、クレームを申し立てなかったお客様は、次回に購入する確率は9%にまで下がってしまう。まさに、お客様は商品やサービスのブランドから「黙って離れていく」ことが多いことがわかる。

「大事なことは、どうやって人は満足するかという点です。お客様は自分自身の中に基準=期待する満足のレベルがあり、これを超える感動を与えることで、お客様は『非常に満足』した状態となり、他のお客様にも薦めていただける可能性があるということです」(鎌田氏)

画像
顧客の事前期待を超えることが、感動につながり、企業の長期的、継続的な利益の確保につながる

 リピート獲得には、顧客の事前期待を超えることが不可欠ということだ。

【次ページ】 「ありがとう」の数だけ顧客満足は向上する

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