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リクルートといえば、「まだ、ここにない、出会い。」をスローガンに、幅広い生活情報サービスを展開し、一般カスタマーとクライアントを結び付けるマッチングビジネスを行う日本屈指の大企業として知られる。それらのサービス基盤の構築や管理を一手に引き受けているのが、リクルートの機能会社の1つであるリクルートテクノロジーズだ。同社の池田 英哲氏が、リクルートを支えるビッグデータ活用基盤と、それを促進するメタデータ管理Webシステムについて明かす。
「リクルートID」でサービス利用者のさらなる利便性向上を図る
今、リクルートが展開している情報サービスには「リクナビ」「タウンワーク」などの人材関連メディア、SUUMOやゼクシィ、じゃらんやホットペッパーグルメといった販促メディアなどが存在しており、さまざまな領域で展開されている。非常に多岐にわたるサービスを展開しているが、サービスを利用される方々の利便性を高める余地はまだあると、リクルートテクノロジーズ ITソリューション統括部 ビッグデータ部 池田 英哲氏は振り返る。
「たとえばゼクシィを使っていた多くのユーザーならば、2、3年後には子供が生まれます。その際、機を狙って出産・育児などの他サービスを推奨することができませんでした」(池田氏)
そこでリクルートでは、「リクルートID」と呼ばれる共通会員IDでデータをつなげ、同じIDとパスワードでサービスを使える仕組みを構築してきた。リクルートIDを使うと、各種の予約やショッピングなどが便利になるだけでなく、1ポイントあたり1円換算のリクルートポイントも貯まる。
このように同社では、アルバイトから、グルメ、ファッション、通販、お稽古、美容、旅行、就職、結婚、出産・育児、転職、クルマ購入、マイホームまで、個々のユーザーにあった最適な情報サービスを提供し、ユーザーの選択や行動を支える存在になることを目指しているところだ。
またリクルートテクノロジーズは、こうしたリクルートIDのような利便性向上を図る仕組みのほかに、「ビッグデータ活用基盤」や、「メタデータ管理Webシステム」など、社内的にデータ活用を促進するための仕組みづくりも積極的に推進しているという。
レコメンド・ロジックによる求人情報の自動算出や、PUSH通知基盤による配信の高速化
次に池田氏は、リクルートテクノロジーズのビッグデータ活用基盤について説明した。技術進歩によって、データの活用が一般化している中で、実際に営業や経営層など、これまでデータに興味のない層にも活用が広がってきている。一般的にビッグデータは「Volume」「Variety」「Velocity」という3つの“V”で定義されるが、さらに同社では「利用者・利用パターンの増加」も、1つのトレンドと考えているそうだ。
池田氏は、同社のビッグデータの活用事例を2つ挙げて説明した。1つはリクルートエージェントでの求人マッチングの取り組みだ。これまでは、求職者がキャリア・アドバイザーに就業したい希望職を相談し、それを受けてキャリア・アドバイザーが求人キャストシステムから最適な職業を探して紹介するという流れだった。
同社では、ビッグデータを活用し、キャリア・アドバイザーが検索する仕組みをレコメンド・ロジックで支援している。
「求職者がWebから応募した段階で、その人物の趣味・趣向や、過去の経験に合わせて、適切な求人情報を返してくれます。これにより、かなりの工数削減に成功しました」(池田氏)
もう1つの事例は、スマートデバイスを起動しなくても相手に通知を送れる「プッシュ通知」とビッグデータ基盤を連携させたものだ。
「たとえば、個々人が閲覧していたサービス情報などをベースに、感心の高そうな情報をプッシュ配信します。ゼクシィであれば、式場のお薦めやフェアー開催などをタイミングよくお知らせしています」(池田氏)
プッシュ通知では、能動的に情報を取りにいく必要がなく、リアルタイムにアプローチでき、ユーザーのアクティブ率の向上や、休眠者の掘り起こしにも役立つ。ただし、システムに実装する手間と工数がかかるというデメリットもあった。
「iOS、Androidそれぞれのプラットフォームで仕様が異なっていたり、各ユーザーにプッシュするタイミングの設定なども、メールに比べて大変でした」(池田氏)
そこで同社では、「Pusna RS」と呼ばれるPUSH通知基盤を構築し、課題を解決したという。
「これまで1000万の配信をするのに2週間かかっていましたが、この基盤を利用することで、配信をわずか12分間で実施できるようになりました。ビッグデータ基盤との連携は、既存のアプリケーションの改修や影響もなく、実現できました」(池田氏)
【次ページ】 なぜ、今メタデータ管理が必要なのか? その背景とメリットとは?
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