社会起業家を産み出す母なるスペース

　ワンストップ特例で手続きが簡素化されたふるさと納税。今年から控除額の上限が2割になるなど、地元を応援しようと言う機運は益々高まりそうだ。横浜市を中心に人や地域を応援する事業を展開している“まちづくり”企業、関内イノベーションイニシアティブの治田 友香社長は次のように語る。

「私たちの会社は地域活性化のためにソーシャルビジネスを育てる活動を行っています。公的な機関では手が回らない社会的な事業の担い手をサポートしていこうと言う思いから、2013年に設立しました」

　治田社長は横浜の企業10社から出資を受け、空きビル活用を目的に、120社の入居が可能なコワーキングスペースとシェアオフィス、ワークショップスタジオを併設したmass × massを開設。2015年の3月には、神奈川県の最西端、山北町の間伐材を活用したワークスペース「TENTO」を拡張した。


　24時間365日オープンにも関わらず、1万5,000円（税抜）からと低価格で使用でき、入居期限も無く登記も可能だと言うから驚く。

　mass × massを開設したところ、無線＆有線LAN完備なのでパソコン一台あれば仕事が出来るオフィスが格安で借りられると入居希望者が殺到。みなとみらい線馬車道駅から徒歩3分という立地も追い風になっている。あわせて地場産品を使用した「まちなか社食」を運営しており、1日60食を売り上げるなどこちらも好評だ。

　治田社長はこれまで長年にわたり、NPO法立法に関わってきた経歴を持ち、NPOや財団の事務局を務めてきた。その経験を活かして「社会起業家の母」となるべく、mass × massを拠点に起業のサポートを行っている。

「mass × massには現在は70社が入居しており、そのうちの2割程度がソーシャルビジネス事業者、あとはITベンチャーや、士業の方など、多種多様な会社や個人事業主が集積しています。横浜の起業環境を少しでも良くしたいとコワーキングスペースを開設し、起業を目指す方向けの人材育成事業を展開してきました。70人収容のワークショップスタジオではセミナーや交流会、イベントなどが開催されており、講座の受講生は800名を超えています」

　その言葉の通り、mass × massから続々と起業家が誕生、ビジネスの世界で活躍しているという。