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- 2015/06/26 掲載
日本企業は人材確保がさらに困難に? 超売り手市場のASEANでは全外資系企業がライバル
ジェイエイシーリクルートメント 佐原 賢治氏
東南アジアで日系企業が抱える人事課題
同調査は、タイ、マレーシア シンガポール インドネシア ベトナムの5カ国にある日系企業を対象としたものだ。それによると、73%の企業が、「人事面での最大の課題は人材確保/育成である」と回答したという。さらに、人事面での具体的な課題について聞いたところ、いちばん多かったのが、「マネジメントクラスの育成が進まない(71ポイント)」で、2位は「スタッフワーカークラスの人件費の上昇(36ポイント)」が挙げられた。
また、人材の中でも、特に確保が難しいのは「幹部候補者」であるという。その理由として佐原氏は、「幹部候補者のスキルが採用側の要求と合致していないこともあるが、採用基準が異なることも影響している。日本企業の場合は、管理職になる前の若手を採用し、管理職に育てていく。しかし、ASEAN諸国では、幹部(管理職)をいきなり雇用する。実は、こうした違いで、日本企業に人が集まらない」と指摘する。
現地幹部人材を採用する際の4つの留意点
その上で同氏は、現地幹部人材を採用する際の留意点として、1.“超売り手市場”であることを理解する。2.すべての外資多国籍企業がライバルであり、日本企業は給与面で不利な条件を提示していることを理解する。3.そもそも“管理職適齢期”の絶対数が少ないことを念頭に置く。4外資多国籍企業と比較し、日本企業は採用までの選考プロセスと意志決定スピードが遅いことを理解する、の4つを挙げる。中でも致命的に不利なのが、外資多国籍企業との給与面での差だ。佐原氏は興味深いデータを提示する。以下は同社の「The Salary Analysis in Asia 2015(2015年におけるアジアの給与分析)」調査の結果だ。日本語力を不要とする求人で、サービス業/法人営業職における幹部人材の採用時給与を比較したところ、国によって若干の差はあるものの、日系企業の提示する金額は、総じて低い結果となった。同氏によると、部長以上の報酬ではさらに差があるという。
ASEAN諸国における日本企業の就職人気も、興味深いデータがある。2012年にジョブストリートビジネスコンサルティングが行った調査によると、「アジア7カ国における賞賛に値する会社トップ30」のうち、日本企業は2社しかランクインしていない(以下スライド参照)。少し前までは、ASEAN諸国にとって、日本企業はブランド力があった。しかし、最近では、韓国のサムスン電子やマレーシアのペトロナス、インドのタタ・グループなどもブランド企業として一定の人気を得ていることが見て取れる。
また、超売り手市場である上に、採用までの選考プロセスに時間がかかる日本企業は、「圧倒的に不利な立場にいる」と佐原氏は指摘する。同社が2011年に行った調査によると、日本とタイで、応募書類を提出してから内定が決まるまでの時間を比較した場合、1カ月以内に内定が出る比率は、日本では9.8%だったのに対し、タイでは58.9%だった。つまり、タイでは半数以上の人材が、就職活動を開始してから1カ月以内に次の仕事に就いている。何回も面接を行う日本企業は、それだけで不利になっているのだ。
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