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企業のIT予算策定が進む中、2013年度の国内IT投資動向が明らかになった。2012年度の国内企業のIT投資額はプラス成長となるもの、低成長化が鮮明になった。2013年度は売上高1,000億円超の大企業で大幅なIT予算の削減が見込まれており、調査を担当したアイ・ティ・アール(以下、ITR)のシニア・アナリストの舘野真人氏は「2013年度は最悪、マイナス成長もありえる」との厳しい見通しを明らかにした。また、本調査ではグローバル対応について新たに調査を実施。拠点管理の意向がここ数年で加速する一方、海外売上高比率の高い企業では、IT予算の海外流出が懸念されるという。
IT投資にも現れた企業の世代交代
ITRは5日、国内企業の情報システム部門および経営企画部門の役職者3000人を対象に、アンケートまたはWebでの調査を実施した。有効回答数は672件。調査は10月22日から11月2日にかけて行われた。
回答企業の業種は製造業、サービス業がともに32.1%、流通・小売が16.2%、金融・保険が8.8%、建設が6.3%、官公庁・公共団体が4.5%となった。
企業規模別では、従業員数300人未満の中小企業が29.5%、300~1000人未満の中堅企業が28.1%、1000人以上の大企業が42.4%で、「大企業の割合が比較的多く、ITに積極的な企業が多い」のが調査母体の特徴。
対象企業への調査の結果、IT予算の増減傾向について、2012年度にIT投資を増額した企業は前年調査より若干増加した。特に「20%以上の増加」の割合が4.9%から7.2%に大きく伸びた。ただし、2013年の見込みでは、IT投資の増加が20%以上を見込む企業が6.0%あったものの、増額予定の割合自体は減少した。
特徴的だったのが、売上高1,000億円超の大企業だ。2013年度に向けて、5,000億円超の企業のIT投資増減指数は2.2ポイントのマイナス(2012年度は0.2ポイントのプラス)に、1,000億円から5,000億円未満の企業が0.3ポイントのマイナス(同0.8ポイントのプラス)になった。舘野氏によれば、「予想の段階でここまでマイナスになったことはない。ここしばらく予測が実績を下回っており、2013年度は最悪マイナス成長もありえる」という。
「特に製造業の投資が冷え込んでおり、製造業の置かれている厳しい状況がIT予算にも影響している。なお、大企業は計画通りに進めるので、予測とのブレが少ない。」(舘野氏)
一方で、500億円から1,000億円未満の企業のIT投資増減指数は2.4ポイントのプラス(2012年度は1.0ポイントのプラス)、100億円から500億円未満の企業では0.7ポイントのプラス(同1.4ポイントのプラス)になり、準大手・中堅企業が伸びる可能性があるという。
ITR 代表取締役 内山悟志氏は「日本の伝統的大企業が苦しむ一方で、新興企業のIT投資が増えている。企業の世代交代が進んでいる印象だ。業績を伸ばしている企業が、積極的なIT投資にチャレンジしている」との見方を示した。
一方で拡大が期待される分野もある。リスク対策費用だ。「情報セキュリティ対策費用」「災害対策費用」「IT内部統制費用」については、2012年度も引き続き増加傾向となった。
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