IDC Japanは6日、国内ユーザー企業向けオフショアITサービス市場予測を発表した。発表によると同市場は、2011年には震災の影響を受けて成長が鈍化するものの、2012年以降再び高い成長率を回復し、2015年には451億円に達すると予測している。

　なお、IDCではこの市場に国内ベンダーが自身のオフショア拠点を活用したシステム開発や運用サービス、オフショアベンダーを二次請けとして利用して国内企業に提供したサービスを含めていない。

　2010年の国内企業向けオフショアITサービス市場規模は、前年比6.9％増の332億円だった。国内ITサービス市場全体ではマイナス成長だった2010年でも、オフショアITサービス市場は高い成長を達成した。この背景には、国内企業の継続的なコスト削減要請とともに、グローバル化のパートナーとしてオフショアITサービスベンダーを選択する国内企業が増えてきたことがあるという。オフショアITサービスベンダーの顧客層も、外資系企業の日本法人から、日系企業へと比重が移りつつあると指摘している。

　2011年の国内企業向けオフショアITサービス市場は、東日本大震災の影響を受けて成長が大幅に鈍化する見込み。しかし、情報システムの可用性や障害に対するリスクの分散、あるいはBCP（Business Continuity Plan：事業継続計画）を目的として、開発や運用の海外展開、データセンター/バックアップセンターの海外移設を考える企業も出始めており、オフショアベンダーにとって新たなビジネスチャンスとなっているという。

　2012年以降は、BCP、グローバル化といった企業の課題に対するニーズを取り込みながら、同市場は再び高い成長率を回復すると見込む。2015年には同市場は451億円に達し、2010年から2015年までのCAGRは6.3％になるとIDCでは予測している。国内企業にとって、海外市場における経験や知識が豊富なオフショアベンダーを利用する価値は高まっている。


　「オフショアITサービスベンダーは、これまでのグローバルでの知見、経験を生かし、国内企業に対して『経営課題』解決のサービス、ソリューションを提供していくべきである。一方、国内ベンダーは、現行顧客の海外進出の動向を注視するとともにともに、場合に応じてオフショアITサービスベンダーとの戦略的な提携も選択肢の1つにすべきである」（IDC Japan ITサービス グループマネージャー 寄藤 幸治氏）

　今回の発表はIDCが発行したレポート「国内ユーザー企業向けオフショアITサービス市場 2010年の実績と2011年～2015年の予測：東日本大震災による影響を考慮」（J11280102）にその詳細が報告されている。