• 2011/03/04 掲載

米IBMが新しいヘルスケアポータルを発表、韓国最大の医療センターと協力

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米IBMは3日(現地時間)、患者向けのヘルスケアポータルシステム「IBM Patient Empowerment System」を発表した。IBMユビキタス・コンピューティング研究所(韓国)、IBMハイファ研究所(イスラエル)、IBM中国研究所(中国)が共同開発した。
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 IBM Patient Empowerment Systemは、単に患者がオンラインで診察の予約をしたりカルテにアクセスするだけでなく、IBMのリサーチ部門と韓国のGacheon University Gil Hospitalの医師および病院管理者が共同で開発した新しい技術をもとに、患者自身が必要とする医療データを統合し、管理できるという。

 さらに、個人別に応じた提案、もしくはより安全な治療に関するお知らせを受けたり、第三者機関が提供するヘルス・ポータル、病院の電子カルテシステム、センサー、自宅の健康状態をモニターする各種デバイス、米食品医薬品局の警告、PubMedなどの医療サイトなどの幅広いデータ・ソースにアクセスできるという。

 Gacheon University Gil Hospitalは韓国最大級の医療センターで、約百万人の患者を受け持っている。業務効率化とコスト削減を目指すパイロット・プロジェクトの一環として医師および患者にポータルへのアクセスを提供することを決めた。

 当システムが提供する分析サービスでは、患者の満足度向上のため、複数のソースから得た社会的データおよび医療データを統合し、当システムは患者が自身の治療に積極的な役割を担い、患者と介護者間を交流させることにより、これまでにない協調した医療体制を構築していくという。また、多様なレベルでのプライバシーを守るよう設計されており、履歴の閲覧および使用について情報レベルに基づいた、きめ細かい管理が可能になっている。

 昨今、医療関連情報がインターネット上で公開されているが、爆発的に増加する情報により、患者を困惑させている現状がある。たとえば薬物有害事象(adverse drug events: ADE)や、異なる種類の薬を一緒に服用すると危険を伴う場合があるため、同システムでは大量のデータから適切で正しい情報を取り出し、患者に適した意思決定するための情報を提供する。

 本システムにより、もし処方薬を既に与えられて治療されている患者が市販の薬を使いたいと思った際に、自身の投薬リストに薬の名前を加えると、システムは患者の医療データを調査して、患者が既に服用している薬のうちの一つと新しく服用したいと思っている市販の薬の間で危険な相互作用が起こる可能性について詳細情報を含め警告メッセージを出すといったことができる。

 さらに同様の問題に苦しんでいる患者、見込みのある治療プラン、ベテランの医師などについて検索機能やアドバイスも提供。これらの機能は、構造化データおよび非構造化データを従来のデータ・ウェアハウス技術では実現し得ないスケールとスピードで処理するIBMの Big Data Analyticsプラットフォーム上で構築され、システムがデータ内に隠れている関連性を発見し、外部情報を元に相互関係を示すことを可能にする。

 IBMでは、ヘルス・アナリティックス分野に重点的に取り組んでおり、各種異なる大量の医療データを分析するソフトウェアで、医師が十分な情報を得た上で医学的な判断をすることなども支援する。

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