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- 2010/07/14 掲載
5年後のデータセンターは都市設計とともに考えるべき:東大江崎浩教授、大手ゼネコンらがパネルディスカッション
竹中工務店、清水建設、大林組、鹿島建設らの描くクラウドビジネス
データセンターは都市型・地方型に分化する
最初に意見を述べたのは、竹中工務店 エンジニアリング本部 データセンター推進担当副部長 後神洋介氏だ。後神氏は、同社独自のデータセンターとして2層フロア構造を紹介した。2層フロア構造とは、従来フリーアクセスとして確保していた床下部分と、下の階の天井裏スペース部分を一体化し、その部分に空調のエアフロー、各種の配線や設備を配置するというものだ。現在、データセンターの床下部分は高圧の空調ダクトとして高床式の構造が多いが、これを下の階の天井までの空間とつなげることでスペース効率を上げようというものだ。このとき広がった床下部分の壁面にはトラス構造で補強しておく。こうすると、床荷重が上がり、柱を減らすことでサーバルームのスペース効率がよくなる。さらに、床下の空間が広がることで、大量のエアをゆっくり流すことができ空調効率も上がる、などといった効果が期待できる新しい施工方法だという。この床下空間は人が立って作業できるほどの高さになるが、当局の指導に従い、建築基準法における建物の床面積には含めなくてもよくなっているそうだ。
ユニット化が進む次世代データセンターファシリティ
次に清水建設 技術ソリューション本部 iDCプロジェクト室 室長 郷正明氏が、自社のデータセンターへの考え方を発表した。清水建設では、データセンターは、常に最先端であることを重視し、ユニット化による柔軟性や拡張性に重き置いているという。設計、建設に数年かかる建築、ファシリティビジネスでは、足の早いIT業界と比較すると、建物ができたころに設備が陳腐化してしまう危険性もあるといい、空調、サーバ室、UPSなどをユニット単位で考え、複数のレベルの設備が混在、あるいは拡張できる設計を行っているそうだ。郷氏は、ユニット化の考えを進めるとコンテナ型データセンターがわかりやすい例だが、清水建設でのユニットは、スパンごとにユニットを構成させたりラック単位で対応したり、ユーザーの多様なニーズに応えられるようにしているという。
江崎氏は、このようなソリューションは、10年、20年という単位で建物を考えるゼネコンにしかできないアプローチではないかと述べ、長期的な戦略として重要性が高いとした。郷氏は、「その反面、ユニットごとの制御が複雑になり、可視化技術やマネジメントにIT技術の導入が不可欠となる」と受け、さらに、スモールスタートが可能でスケーリングも自由なデータセンターファシリティへのニーズが高まると、ゼネコンといえども建物を売って終わりではなく、ランニングのビジネスモデルを重視するようになるのではないか、という認識も示した。
【次ページ】日本型のデータセンター施設基準が必要
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