今回、いなげやと菱食が開発したVMI支援システムは、卸による小売の在庫管理を行うシステムで、小売が在庫情報を卸と共有し、一定の在庫量になるよう卸が自動的に在庫を補給するというもの。

　菱食の得意先であり、首都圏を中心に100店舗以上を展開するいなげやは、取扱いラインナップを定番商品に絞り、小規模な店舗とスリムな体制でEDLP(EveryDay Low Price)を実現する新しい業態の店舗「ina21」の本格展開を進めている。「ina21」では、限られた店舗スペースと人数で展開しているため、タイムリーかつ高精度な在庫管理を行う必要があるという。そのため、これまでのPOSの売上データを元に経験則で在庫発注を行う食品流通業界の属人的な発注業務を見直すことが必要となっていた。

　これを実現するため、「ina21」の市販用冷凍食品およびアイスクリーム部門を対象に、まずは練馬東大泉店と杉並桜上水店および練馬中村南店の三店舗で運用を開始したという。

　新システムは、菱食がいなげやの「ina21」に納入している商品について、いなげやのPOSの売上情報と在庫情報から補充すべき数量を算出し、菱食に発注すべき商品および数量を菱食の基幹システムに自動送信する機能を、富士通のデータセンターで運用している菱食の基幹システムの一部として開発した。季節変動などの需要の変化にあわせて、店舗側で補充数の変更なども行えるという。



　これにより、いなげやは、店舗在庫の適正化を実現し、タイムリーな商品提供（チャンスロスの減少）、在庫管理・発注業務効率の向上、在庫管理スペースの削減が可能になる。

　また、菱食においても、いなげやのPOSの売上や在庫情報、また補充すべき商品と数量をリアルタイムに参照できるため、想定外の短期需要への対応に伴う物流コストなどを削減することができる。菱食は、これらの精度の高い情報をもとに販売分析を行い、いなげやに強力な販売提案を行うことが可能になる。

　今後、いなげやは現在16店舗の「ina21」に順次、VMI支援システムの導入する予定だという。