- 2007/04/16 掲載
組み込みソフト開発における経営課題【第5回】情報戦略ガバナンス
情報戦略ガバナンス/第5回 【ビジネスインパクト連載中】
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ボストン コンサルティング グループ ヴァイス・プレジデント 井上潤吾 Inoue Jungo ペンシルバニア大学経営学修士(MBA)、 東京大学大学院工学系修士。 ボストン コンサルティング グループの アムステルダムオフィスを経て、現在、 東京オフィスに所属。国内外のIT関連会社 や情報システム子会社を擁する金融サービ ス会社、産業財メーカー、電力会社に対し て、事業戦略、組織、グループマネジメン ト、IT診断と私活用、営業ケイパビリティ 構築などを中心としたプロジェクトに従事 している。 |
品質最重視の自動車でも同様で、ギヤが3速に固定されたり後退に入る、変速直後のアクセル操作で無段 階変速装置の金属ベルトが破断するなどの不具合が生じ、国土交通省にはソフトの不具合を原因とする自動車のリコール届が毎月のようにあるそうである。
一方で、組み込みソフト開発の市場規模は、国内メーカーのハード製品に対する組み込みソフト開発市場だけでも、2.4 兆円になる。図に市場の全体像とその規模を示す。ボストン コンサルティング グループの推定によると、世界では10 兆円を超える大きな市場である。
また、開発規模は近年急速に拡大している。2003 年から2004年の1年間の市場規模の推移をみると、全 体で20% 成長している。特に民生用は、軒並み25%を超える成長を遂げている。当事者であるメーカーの方々の意見を聞いても、携帯、情報家電を中心に開発コストに占める組み込みソフトの比率は今後も間違いなく拡大していくということだ。
図にみるように、グループ会社外部への委託はすでに3 分の1ほどあるのだが、この傾向が拡大しつつある。これは、グループ会社内部の開発要員が足りなくなってきており、採用・育成するには時間がかかるため、外部に頼らざるを得ないということだろう。市場は間違いなく今後も拡大することは明らかだ。 したがって、もし利益が確保できるビジネスモデルが確立できれば、この市場は品質強化をする「守り」 の領域だけでなく、成長につながる「攻め」の領域にもなりうるのである。
このような状況で、各メーカーも静観しているわけではない。すでに大規模システム開発で培った開発手法やソフトウェア開発ツールを導入したり、顧客の開発部門と一体となり開発をサポートしたり、アーキテクチャの設計を支援したりしているメーカーがある。
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(図)組み込みソフト開発の市場規模
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