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- 2010/03/26 掲載
【連載】デフレ経済を勝ち抜く攻めのM&A(2)業界特有の経営課題にM&Aの実施で対応した事例
アリックスパートナーズ 竹島英樹氏
弊社アリックスパートナーズが企業再生の努力を続けているなかで、大きな壁に突き当たることがある。それは「地球温暖化防止」「少子高齢化」「水平分業のグローバル化の進展」など事業の前提条件となっている外部要因が急激に変化しているのに対し、業界構造ないしは産業構造の変革が遅々として進んでいない場合である。こういった場合、1つの企業の中での努力だけでは限界があるため、M&Aが有効な解の1つであるケースが少なくない。
業界再編の起爆剤となりうる新日本石油・新日鉱の経営統合
新日本石油・新日鉱は2010年4月に両社グループの全事業を分野別に完全統合する。持ち株会社の傘下に石油精製販売事業会社、石油開発事業会社、金属事業会社を置く、売上高13兆円強、国内ガソリン販売シェア33%を握る世界第8位の石油会社が誕生する。この統合の背後にある要因について以下検討する。国内燃料油需要は1999年度の約2億4600万キロリットルをピークに減少傾向にあり、2008年度は約2億104万キロリットルと前年度比8.0%減少、過去2番目の下げ幅を記録した。また今後5年間の見通しについても、年平均-3.5%のペースでの減少が見込まれ、2013年度の需要は1億6821万キロリットルにまで落ち込むものと予想されている。これは概ね1960年代後半の水準まで需要が減退することを意味する。
この急激な需要減少であるが、循環的な景気悪化に加え、少子高齢化の進展に伴う内需の減少、ハイブリッド/電気自動車やソーラー発電等の「脱石油」エネルギーの普及など、冒頭に述べた外部要因の変化が大きく影響している。
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