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  • 2010/02/12 掲載

USB 3.0とは何か?5Gbpsの最高速インターフェイスが「Light Peak」へと続く未来【2分間Q&A(64)】

転送速度はUSB 2.0の10倍

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USB 2.0の登場からまもなく10年。ようやく、次世代のUSB規格である「USB 3.0」が本格的に始動しはじめた。転送速度はUSB 2.0の10倍である5Gbpsと圧倒的なスピードを持ち、高速なハードディスクとのデータ転送や、大容量のハイビジョンデータなども余裕で転送できる。既に、2010年の春モデルパソコンにも搭載されているUSB 3.0の正体と、さらに次のインターフェース「Light Peak」とは何かについて、規格の遷移などとともに見ていくことにしよう。
執筆:池田 冬彦

USB 3.0登場の背景とは?

 1996年1月に登場したUSB(Universal Serial Bus)は、コンピュータと周辺機器を接続するためのデファクトスタンダードとして長い歴史を持つ。最初の規格であるUSB 1.0は、それまで使われていたシリアルポートやパラレルポート、PS/2端子に代わる新しいバス規格として誕生した。

 2000年4月には480Mbpsのデータ転送(理論値)が可能なUSB 2.0が策定され、外付けハードディスクやビデオカメラ、TVキャプチャーボード、PCオーディオ製品など、高速なデータ転送が必要な周辺機器にも対応するようになった。

 USB 2.0は長らくUSBの標準規格として利用されてきたが、近年では家庭用ハイビジョンカメラの普及も進み、デジタルカメラのデータも大容量化している。また、地上デジタル放送やBSデジタル放送など、ハイビジョンコンテンツも一般化しており、USB 2.0の480Mbpsでは速度不足になる可能性が懸念されるようになった。

 実際、ハイビジョンビデオの規格として既に普及している「HDMI(High-Definition Multimedia Interface)」は、ハイビジョン対応のテレビやレコーダーの映像/音声を伝送するものだが、規格上のデータ転送速度は5Gbpsと非常に高速だ。また、HDMIの最新規格である1.3は10Gbpsの転送速度を実現する。このような高速なインターフェースを必要とするような周辺機器は、現状のUSB 2.0ではカバーできない。

 また、ストレージの分野でも高速化の動きが見られる。たとえば、SDカードの高速規格である「SDXC」は最大2.4Gbps(300MB/秒)もの転送速度だ。この規格が実用化されれば、現状のUSB 2.0では速度が十分に活かせない。また、今後は6Gbpsの「Serial ATA Revision 3.0」に対応するSSDやハードディスクの普及もこれから進んでいくはずだ。

 USB 3.0はこのような状況を視野に入れ、次世代USB規格として2008年11月に策定された最新規格で、最大5GbpsとUSB 2.0の約10倍の転送速度を実現する。

図1 USB規格の違い
規格名USB 1.0USB 1.1USB 2.0USB 3.0
規格策定時期1996年1月1998年9月2000年4月2008年11月
Low-Speedモード
1.5Mbps(0.1875MB/秒)
Full-Speedモード
12Mbps(1.5MB/秒)
High-Speedモード
480Mbps(60MB/秒)
××
SuperSpeedモード
5Gbps(625MB/秒)
×××
最大ケーブル長3m3m5m3m(推奨)
最大供給電力未定義500mA500mA900mA


USB 3.0はこれまでのUSBとどこが違う?

 USB 3.0の最大の特徴は、USB 2.0の10倍の理論速度が得られることだ。ただし、注意したいのは、USBの規格上では4種類のモードを持ち、USB 1.0や1.1では「Low-Speedモード(1.5Mbps)」「Full-Speedモード(12Mbps)」、USB 2.0では「High-Speedモード(480Mbps)」に対応していることを意味する。USB 3.0では、これら3つの規格に加えて「SuperSpeedモード(5Gbps)」に対応している。

図2 従来の通信方式とSuperSpeedモードとの違い
項目 Low-Speed~High-Speedモード SuperSpeedモード
通信モード(データフロー) 半二重通信 全二重通信
連続バースト転送の対応 ×
同期方法 ポーリングによる同期通信 非同期通知
ストリーミングのサポート ×
電源管理 ホスト側のみ ホスト/デバイスの双方から可能


 これらのモードのうち、どれを使って接続するかは、USBホストとUSBデバイスがどの規格に対応しているかによる。たとえば、高速伝送を必要としないキーボードやマウスはLow-SpeedモードやFull-Speedモードで動作し、外付けハードディスクなどはHigh-Speedモードで動作する、といった具合だ。

 USB 3.0に対応するホストコントローラは4つのモードに対応し、従来のUSB機器はその機器の対応モードに応じて接続し、USB 3.0に対応する機器の場合のみ、SuperSpeedモードで接続するように考えられている。

 しかし、USB 3.0は、従来のようなUSB 1.0/1.1と2.0のように、簡単に混在環境を作ることはできない。この理由は、SuperSpeedモードでの通信方式が大きく変更されたからである。USB 2.0では半二重通信のため、2本の信号線と2本の電源供給用のラインがあれば接続できる。しかし、SuperSpeedモードは全2重通信を行うため、2ペア(3本)のデータ用信号線と2本の電源供給用のライン(2本×1)を必要とする。

 このように、既存の通信モードとSuperSpeedモードとは通信方法が異なるため、そのままではUSB規格の互換性が失われてしまう。そこでUSB 3.0では、従来のLow-Speedモード~High-Speedモードの通信のための仕組みと、SuperSpeedモードの仕組みを共存させ、4つのすべてのモードに対応するようにしている。

 このため、USB 3.0では、これまでのUSB端子/コネクタではなく、SuperSpeedモードのための5本の線と、従来のLow-Speedモード~High-Speedモードのための4本の線、合計9本の線を持つケーブル+端子/コネクタを使うことが必要であり、これまで使ってきたUSBケーブルは利用できない。

画像
図3 USB 3.0で使われるコネクタと端子 ※出展 SuperSpeed USB Architecture Overview - Bob Dunstan, Intel Corporation http://www.usb.org/developers/presentations/pres1108


 実際の利用イメージは、図4の通りだ。USBホスト(コンピュータ)、USBハブ、USB機器の全てが従来のUSB 2.0が持つ機能と、SuperSpeedモードを実現するための機能を併せ持ち、それぞれの通信のいずれかが行えるように、USB 2.0/3.0双方に対応する端子、コネクタ、ケーブルで接続を行う。ただし、1つの周辺機器はSuperSpeedモードと非SuperSpeedモードを同時に動作させることはできない。

photo
図4 USB 3.0の利用イメージ


>>次ページ USB 3.0の次のインターフェース「Light Peak」とは?
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