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  • 2010/02/04 掲載

「縦割り、現場偏重のシステムはグローバル化に対応できない」--NTTデータ 代表取締役副社長執行役員 榎本 隆氏

日本企業のアジア展開が進むなか、IT企業は何ができるのか?

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日本企業のグローバル化が課題となっているが、それは国内のITベンダーやシステムインテグレータも同じこと。1990年代の失われた10年を取り戻すため、システムインテグレーション最大手のNTTデータはどのようなビジョンを描くのか、NTTデータ 代表取締役副社長執行役員 榎本 隆氏が語った。
執筆:丸山 隆平

内需型企業も海外進出へ

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NTTデータ 代表取締役副社長執行役員 榎本 隆氏
 NTTデータ主催「NTTデータ イノベーションカンファレンス2010」のなかで登壇したNTTデータ 代表取締役副社長執行役員 榎本 隆氏はまず、同社の2013年3月期を最終年度とする経営4カ年計画に触れ、国内市場が低迷するなかで、今後の成長のカギは「日本企業は中国を中心とするアジア市場との関わりを深めていくこと」との認識の下、海外売上を最終年度の2013年3月期に現在の5%から20%に高めることを目標にしている。

 顧客である日本企業のグローバル化の現状について榎本氏は「最近の特徴はこれまで内需型と思われていた食品、建設、サービスなどの企業が、積極的に海外に進出していることだ」と語り、同社の重要顧客であるファミリーマートの例を引く。「ファミリーマートは中国国内170店舗を3年後には500店舗に拡大、さらに今後10年間でグローバル4万店に拡大する計画だ」。

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内需型産業におけるグローバル化
 このような拡大戦略を実行する上で、「多様なバックグラウンドに立ち、さまざまな宗教を持った人々と円滑に仕事を進め、そのようなマーケットの顧客を相手にビジネスを展開するに際し、私が最も重要だと考えるのは、どのように相互理解を深め、共通の目的に向かってどのようにビジネスを展開するかであり、これは大きなチャレンジだ」とした。

日本のITコストは適用できない

 次いで榎本氏は日本のIT企業が海外事業を展開する上で考慮すべき重要なファクターとして、各国の物価水準、購買力平価の違いを指摘。

「各国の日用品価格を比較すると中国は日本の30%、インドは32%、ブラジルは39%などであり、現地の製造原価は現地の購買力に応じて設定されるため、原価項目の一つであるITコストも現地の購買力に基づいて決定しないと、ユーザー企業が利益を出すことが困難となる」。

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価格差に伴うコストの差

 つまり、海外事業におけるITコストに日本の原価を適用することは難しいわけで、「それぞれの国のリソースを活用して、どのように各国で受け入れられるプライスと品質で競争して行くかが、われわれのお客様もわれわれも重要だ」と述べた。

 これに関連し、過去の海外事業展開において現地の購買力を無視した価格設定での事業展開の失敗について、榎本氏は次のように振り返る。

 「NTTデータにとって90年代は国際ビジネスで“失われた10年”であり、中国において国家的な大プロジェクトにも携わったが、15年前、当社は日本人エンジニアのプライスで業務を行っており、現地エンジニアの3倍以上であった。 一方、当時の現地の購買力は日本の10分1以下の段階であり、この日本企業のコスト構造では当然、利益が上がるわけがなかった」。

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