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- 2008/12/17 掲載
RIAコンソーシアム三井英樹氏:業務に集中できる環境を創る
【特集:創る(3)】
いかに社員に提供できるか
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5年以上前になりますが、RIA(Rich Internet Application )という言葉を、マクロメディア(現アドビ システムズ)が、Webの新たな潮流として提唱し始めました。ITシステムは、メインフレーム時代からクライアント/サーバ時代を経て、ユーザビリティとコストパフォーマンスを兼ね備えていくようになるという考え方です。考え方として誰も反対できないだろうという正論だったので、近い将来日本でも根付くだろうと考えました。しかし、デザイナーとエンジニアがコラボレーション(協労)することを前提としたもので、各社が苦労することが容易に予想できました。そこで、業種や業態を超えてベストソリューションについて議論する場を作ろうとスタートし たのが4年前です。現在、34社が参加し、SIerやエンジニア、DBエンジニアやデザイナーなど、さまざまな人がそれぞれの立場で議論したり、ノウハウを共有しています。
─―歴史的に見るとRIAはWebを革新する衝撃を与えましたね。業務の効率化という視点でWebのユーザビリティをどのように考えていらっしゃいますか?
「ユーザビリティ」は「使い勝手」と訳されることが多い言葉ですが、言い換えると、使うための操作を考える、ユーザーの負荷を減らす仕組みを考えるということだと思います。もしくは、何かの業務に取り組む際、いかに業務の中身に集中できるかという度合いと言ってもいいかもしれません。
この10年ほどの間にWebや携帯電話が一般の消費者に広まり、ユーザーはかなりITに近寄ってきています。その一方で業務の視点「B2B」や「inB」、つまりイントラネットにおいては、門外不出の情報を扱っているという点を理由にして、使い易さやその有効性を、たとえば他社のものと比べてきませんでした。そのため、昔ながらの無味乾燥なシステムのまま、業務自身に集中するよりもその操作方法を覚えなくてはならないという壁が相対的に高く感じられるようになってきているように思います。
業務の効率化自体も大きな問題ですが、こうした中、本当に優秀な人材を育てられるのかという問題も出てきているのです。会社の規模に関わらず、業務にどれだけ集中できるのか、集中できる環境を社員に提供できるのかというポイントは、会社へのロイヤリティに直結している問題とも思えるからです。実際、先進的な企業では勤怠管理や交通費精算といった、本当に日常的に使われるアプリケーションの使い勝手向上に真剣に取り組み始めています。アプリケーションの使い方に悩んだり、周囲の人に聞きながら操作をしたのでは作業に余計な時間がかかります。そして大抵質問に答える役は、優秀な人材に集中するものです。日常の現場が無駄の代表例のように見える瞬間です。私はいくつかの企業を渡り歩いてきましたが、個々の会社の印象として思い出すのは、意外と業務アプリケーションの画面だったりします。非常に使いづらいシステムを強いる企業もあれば、簡便さをモットーにしているところもあります。集計などに便利なマクロなどが色々とライブラリー化されているところもあります。面倒だけれどやらなくてはならない業務を支援されるのは、うれしいことです。それが毎日とか毎月だとなおのことです。日常の事務時間を不毛なことに使うよりも、本来の業務に集中する時間を増やした方が会社も活性化すると思っていました。「お願いだから仕事をさせてくれ」という叫びです(笑)。
何年かに1度、特別に社員の皆さんのユーザビリティを高めましょうといった運動を起こす企業があります。業務効率化委員会とかができて、エクセルの表が回ってきて、と。しかし、そうしたアプローチでは、スピード感的に作業の効率化が間に合わなくなってきているのです。ちゃんとフィードバックをお互いに行い、もっと頻繁に見直す必要があると思います。もちろんその頻度は、業種や会社のゴールなどによって何かしらの傾向があるかもしれません。つまり、企業の競争力を向上させる「人財」に合わせて、様々なことを調整していく必要性が高まってきている時代なのだと思います。
こうしたユーザビリティへの要望は、元来、現場を中心にありましたが、最近では経営層からも出始めている気がします。その潮流が、「見える化」というキーワードだと言えるのでしょう。
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