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- 2008/01/17 掲載
ソフトウェア資産管理を極める!(最終回)ソフトウェア資産管理基準Ver2.0の解説
IT資産管理のファーストステップ
これまで8回にわたり、SAMの重要性と、その仕組みの構築方法について述べてきた。第1回から第3回まではSAMの概要をまとめ、第4回から第8回までは具体的な構築手法を説明した。しかし、これまでに何度も述べた通り、SAMは構築よりも運用の方がはるかに難しい。
最終回となる今回は、構築したものをどのように維持・運営していけばいいのかについて、再度、問題点とその解決方法について確認する。そして、2007年11月27日にソフトウェア資産管理コンソーシアムがリリースした「ソフトウェア資産管理基準Ver2.0」の解説を付け加えたい。
これまでの連載を見ていただければ、どのようにSAMを構築するかについてはご理解いただけるものと思う。実際に筆者がこれまで関わった顧客案件でも、構築に負荷はかかったとしても、最終的にできないところは全くなかった。問題はやはり、それを維持・向上させていくこと(=運用)である。
ここでいう維持とは精度維持のことであり、向上とは、その管理コストと投資コストの削減をいう。また、精度維持とコスト削減は相関関係にあり、当然、精度維持がなされなければ、コストの削減はあり得ない。
ここでそれぞれの主な阻害要因とその相関関係を見ておこう。(表1)
表1 主な阻害要因
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当たり前だが、精度維持ができてさえいれば、無駄なコストは発生しない。また、精度が維持されるからこそ、たとえばソフトウェアやパソコンの更改(バージョンアップや入れ替え等)の際に、数量や入れ替えスケジュールなどを的確に策定でき、投資額だけでなく、計画策定のための内部コストの削減も図ることができるようになる。
上記の精度維持阻害要因を排除するためには次のことを考慮することをお薦めする。
1.勝手なインストールの横行の抑止 インストール権限を利用者から取り上げることが最も簡単ではあるが、それによって別の管理負荷が生じる可能性が高い。ここはそうではなく、社内利用ソフトウェアをきちんと定めた上で、順守しているかどうかを定期的に確認し、遵守されていない場合には警告を発する等、管理されている状態を意識させる仕組みを持つことが必要だ。 2.貸出管理の不徹底の抑止 メディアや証書は原則、1箇所で集中管理すべきとしてきたが、それでも、貸出記録のチェックをする体制がなければ、記録を取っている意味がない。単に貸出記録を作るだけでなく、管理部門に定期的なチェック体制を作る必要がある。 3.不定期な使用状況確認 使用状況確認についてISO/IEC 19770-1では、ハードウェアの現物確認が年2回、インストールされているソフトウェアに至っては、年4回の定期的なチェックが必要だと書いている。これを多いと感じる読者は多数いるのではないかと思うが、筆者は、決して多いとは思わない。体制が機能していれば、それほど手間無く実施することは可能だし、そもそも年に1度では、差分の修正に非常に手間もかかってしまう。 また、定期的に行うことは、利用者に管理意識を醸成させることにもつながる。計画的に、手順に従って実行する仕組みと、それを監査する仕組みを持つべきだ。 4.担当者依存の管理体制 SAMは何より組織で行うことが重要だ。 どうしても人数が足りない、もしくは、特定の人間以外アサインできないというのであれば、アウトソーシングすることをお薦めする。 何度も指摘してきた通り、SAMは誰もが簡単にできるものではないが、会社として取り組まなければならない重要業務の一つである。だからと言って、貴重な人材を塩漬けにするような業務でもない。任せられる部分は業務委託することを考えた方がはるかに効率的だ。 5.経営陣の無理解 これが一番難しい。金融商品取引法や、会社法による内部統制の法的な要請や、著作権法の改訂による罰則の強化、または、BSAにおける内部通報数の増加など周辺環境を客観的状況として示すことしかない。そして、本連載を見せていただければ、何とか理解をしてもらえるのではないだろうか? 筆者の独断かも知れないが、SAMに無理解な経営陣ほど、権威に弱い人は多い傾向があるように思う。ならば、たとえば「社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会」に依頼し、ソフトウェア著作権についての社内講演を委託するのも手だ。かなり安価で受けてくれる。 |
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