その国分が情報システムのダウンサイジングに取り掛かったのは、2000年のこと。最後までメインフレームで稼働していた基幹系システムもUNIXサーバーに乗せ替えることが決まり、2004年から移行作業が始まった。多数のバッチ処理を移行するために選ばれたのは、ビーエスピーのジョブ管理ツール「A-AUTO for UNIX」。コンバージョンツールを使うことによって、メインフレームからのバッチジョブの移行を短期間に低コストで行うことができた。新しい基幹系システムは、2005年9月からUNIXサーバーで稼働している。
移行に際して大きな問題となったのは、バッチ処理の扱いである。UNIXのジョブ管理機能はメインフレームに比べてかなり劣るので、バッチジョブをスムーズに運用するには高度なジョブ管理機能を持つ専門ツールの助けを借りる必要がある。システム企画・運用チームは「メインフレームのバッチジョブがA-AUTOを前提とした構成になっているので、フェーズ1ではA-AUTO for UNIX以外の選択肢はありえない」(久保氏)と判断。「移行に要する期間とコストを抑えるという観点からも、コンバージョンユーティリティでジョブネットの移行作業を自動化できるA-AUTO for UNIXが国分にとっての最善の選択でした」と沼倉氏は言う。
A-AUTO(メインフレーム版)からA-AUTO for UNIXへの移行作業が始まったのは、2004年11月のこと。2ヶ月をかけてスケジュールマスターとホリデーマスター用の日付生成機能を開発した上で、コンバージョンユーティリティを使ってA-AUTO(メインフレーム版)のネットワークマスターとデータ待ちマスターをUNIXに乗せ替えた。移行作業の実務を担当した中村秀彦氏(情報システム部・システム企画・運用チーム)は、「日付設定に関するパラメーターは約4,400ありましたが、すべて日付生成機能で対処することができました。12,000を超えるバッチジョブのうち、90%程度は無修正でコンバージョンできています」と語る。テスト機へのインストールは2005年1月に完了し、A-AUTO for UNIXは6月の並行テストから実際に使われることになった。
2005年9月にスタートしたKMSフェーズ1の本稼働では、基幹系システムのバッチジョブだけでなく、運用管理ツールを含むすべてのソフトウェアがA-AUTO for UNIXによってスケジューリングされている。システムの可用性を高めるために、A-AUTO for UNIXは論理パーティショニング(LPAR)機能を利用したクラスタリング方式で動作。万が一、本番系のA-AUTOに障害が発生しても、待機系のA-AUTOが処理を自動的に引き継ぐ仕組みになっている。
短期間に低コストでバッチジョブを移行できたことが最大のメリット
国分
情報システム部 システム企画
運用チーム
中村 秀彦氏
KMSフェーズ1のジョブ管理ツールにA-AUTO for UNIXを採用したメリットを、沼倉氏は「メインフレームからオープン系へのバッチジョブ移行を、短期間かつ低コストで実現できたことです」と言う。ダウンサイジングの真の目的は、KMSフェーズ2の新しいアプリケーション機能によって国分のビジネスバリューを高めること。そこに至る中間的ステップのフェーズ1では、期間とコストを極力圧縮することが求められていたのである。
メインフレームからの移行が無事に完了したことを受けて、国分はすでにKMSフェーズ2の開発へと駒を進めている。KMSフェーズ2では処理方式が大幅に変わるため、バッチジョブの多くは廃止される予定。ただ、業務上のニーズから存続が求められるバッチジョブもあるので、フェーズ2以降もA-AUTO for UNIXが使われて続けていくことになる。オープン系の世界でも必要とされるバッチ処理の最適運用に向けて、ビーエスピーのA-AUTOはこれからも国分の情報システムを力強く支えていく。