- 2007/09/05 掲載
【セミナーレポート】NGNというキーワードをコンセプトとツールの両側面から明確に示す
ビジネスの革新を支援するIT基盤セミナー
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江崎氏は「今後進んでいくフルIP化が何を狙ったものなのか、またそのために世の中でいうNGNの本質がどういったものであり、その発展を今後5年スパンでアップグレードするにはどうしたらいいかを考えていきたい」と語り、現在のインターネットに潜むセキュリティや通信品質に関する問題点を挙げた。また一方で、現在までのIP電話などを例に「IPは使えない」といった誤解を、「IP電話は落ちて当然と考え、実用にならない技術レベルに甘んじている実装面での問題に過ぎない」と指摘した。
その上でNGNとインターネットとの対比にふれ、「NGNは何かまったく新しいテクニカルタームではなく、運用のことを指している。つまり、既存の技術や設備をプロフェッショナルのビジネスに耐えるよう、きちんと整備する方法こそがNGNの本質なのだ」と語った。
江崎氏は現在のインターネットの課題として「通信品質の向上ばかりが叫ばれているが、ビジネスのインフラとして本当に大事なのは100Mbpsで走ることではなく、それに何かトラブルが生じた場合でも、最低限のコミュニケーションを担保できること。つまり、いかなるときにもビジネスの稼働を保証する接続性こそが重要だ」という。それを確保するための運用技術が、NGNだというわけだ。
「とはいうものの、現状のNGNを見る限り、本当にオープン性=接続性やグローバル性が確保されているか、経路制御へのインテリジェンスや、移動とマルチプラットホーム性の確保は大丈夫か、といった課題が山積みになっているのも事実。」と江崎氏は語る。
「またWebサービスという視点で見た場合、現在のWebサービスはコンテンツ配信サービスを含め水平方向への分散化が進んでいるのに、技術者の発想は相変わらず10年前の単純なクライアント-サーバモデルのままというケースが多い。こうした作る側、運用する側の発想をいかに刷新していくかも重要な課題だ」と述べた。
現在、IPv6をどのように運用していくかの具体的な方針もはっきりせず、今後解決していくべき課題は少なくないという。
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逸見氏はまず、「すでに国内には1億台の携帯電話とインターネット端末が存在している。このインフラの浸透をベースに新たなサービス創出に向けたビジネスモデルの変革と、ビジネス分野や技術のクロスオーバーによるビジネス創出=ダイナミックコラボレーションが急速に進むのは間違いない。」と展望を説明、
「さらにITとネットワーク技術はより進化し、これまでの“業務効率化のツール”から“サービス提供により利益を生む時代”へと変化を遂げる」と述べ、ユビキタスサービスを始め映像、決済/企業通貨、企業間連携といった多彩なサービス領域がNGNによって加速される」ことを予測した。
加えて「NECが考える『サービスプラットフォーム』とは、こうした新たなビジネスアプリケーションを支えるプラットフォームだ。」と語り、
「具体的には、ユビキタス社会において、携帯電話やタグ等、様々な情報源を起点として発信される情報を、リアルタイムかつ高信頼に扱い、個人・企業にサービスを提供するシステム基盤が、サービスプラットフォームだ。NECは、今までにITとネットワークの両領域でミドルウェアを開発し、先進的な事例として、決済基盤、映像配信等、大規模システムインテグレーション構築を多数実現してきた。この実績からも分かるように、NECは、これらをトータルインテグレーションする技術とミッションクリティカルなシステム構築ノウハウを強みとして蓄積しており、お客様の要望にお応えする準備ができている。今後、「NGNで加速するダイナミックコラボレーションの実現」に向け、お客様の新たなビジネス基盤を構築するために、NECの強みを遺憾なく発揮し、事業展開して行きたい」と説明した。
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NECはこうしたコンセプトを実現させるために、「サービスプラットフォーム構築事業」と「サービスプラットフォーム提供事業」の2つの事業領域を設定している。前者は新たなサービスの創出・展開とそのために必要な基幹システムをお客様のために構築する事業であり、後者は共同運用センターや統合コールセンターといった、お客様が新しいサービスを行う上で必要なサービスの代行提供を行う事業だ。
「NECはこうした一連の事業をNSPN(New Service Platform empowered by NGN)と名付け、その実現のためのサービスプラットフォームソリューションをコンセプトからコンサルティング、ミドルウェアからパッケージ製品までを統一的に提供していく。当社にはそのために必要な先端技術とその適用経験があり、NGN時代のサービスを目指すお客様に『安心・安全』と『便利・快適』なシステム構築を確実に支援していく用意がある」と逸見氏は結んだ。
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「『WebOTX』とは、1999年以来の活用実績を持ち、官庁、金融、製造、公共、メディアなどさまざまな分野で業務システムを支えてきたアプリケーションサーバ。WebOTXは最初のリリース以来、一貫した高信頼性とともにJava EE、Webサービス、SOA等の時代の最新技術をいちはやく提供してきた」と実績を説明した上で、「今回リリースされたv7.1ではNGNやユビキタス時代に向けた機能を強化して、大幅なリニューアルを遂げることができた」と語り、WebOTXがITとネットワークのサービス連携を実現する “サービス実行基盤”として、サービスプラットフォームの中核を担うものであることを強調した。
具体的には、ユビキタス社会にキーとなるRFID/センサーや音声認識、モバイルなどをAPI化した「サービスコンポーネント」を提供する。「NECがこれまで培った技術やデバイスの知識をシステム構築の部品として提供する。豊富な実績を持つものばかりを揃えており、その実例については、RFID/センサーを使った生産管理や音声入力技術を用いた顧客サポートセンターの業務支援など、枚挙にいとまない」と胸を張る。
また、標準インタフェースを持つサービスの集合体としてシステムを設計するアーキテクチャSOAの再利用性、柔軟性にも触れ、「WebOTXは、徹底して標準仕様に準拠した製品。そういう意味でSOAを考慮したシステム構築には最適であり、先進技術を組み込んだシステムだけでなく、既存システムまでも柔軟かつ迅速に統合できる」と毛利氏は述べた。
これまで提供してきたアプリケーションサーバにおいても、NGN時代に向けた強化を行ったという。サービスの利用者が増加するNGN時代において、サービスが停止した場合に与える影響は企業だけでなく社会全体へと広がることを説明し、仮想化技術を取り入れることでこれまでの高信頼性にさらに磨きをかけ、24時間365日サービスを止めない安定稼動を実現すると述べた。
さらに、「NGNの基本呼制御プロトコルとして採用されているSIPに対応したアプリケーションサーバも提供する」と説明して、会場に併設されたNGNフィールドトライアルでの適用事例を紹介し、WebOTXが既にNGN Readyなものであることを強烈に印象付けた。
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最後に毛利氏は「NECでは多くの顧客基幹システムへの採用実績を持つ製品を、このWebOTXブランドのもとに再整備し、サービスプラットフォーム時代に向けて信頼性・性能・機能性を高める技術を総合的に強化・提供する。NECの実績あるソリューションとそれを実現するサービス実行基盤を、ユビキタス社会に向けてお客様が思い描くシステムの実現のためにぜひご活用いただきたい」とアピールした。
これまではNGNやユビキタスというと、期待や夢ばかりが華やかに語られる傾向があったが、今回のセミナーでは、すでに運用中の導入例が紹介されるなど、いよいよ本格的な実用フェイズの到来を感じさせる手応えある催しとなった。
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