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  • 2024/08/13 掲載

なぜ内製化は「しくじりがち」なのか、成功に必須「5つの極意」をガートナー解説

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企業のDX推進に伴い、システム開発におけるコスト削減や開発期間の短縮などの観点から、「内製化」へ取り組む企業が増えている。しかし、正しい内製化を実現するには、適切なポイントを押さえなければ実現に至らず、失敗に終わってしまうことも珍しくない。効果が出る内製化を実現するための「5つの極意」について、ガートナーの片山 治利氏が解説する。
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内製化に失敗しないためのポイントとは
(出典:ガートナー(2024年6月))

実は内製化が「難しい」ワケ

1ページ目を1分でまとめた動画
 システム開発の内製化に対する企業の関心が、ここにきて高まりを見せている。背景にあるのは言うまでもなくDXの急速な広がりだ。従来、多くの企業はシステムを外注によって整備し、そのために少なからぬコストと時間を投じてきた。それを内製に切り替えることで、多様なシステムの、SIerとの各種やり取りを省いた、より迅速かつ低コストでの整備が可能となる。

 ガートナーが2022年4月に実施した調査でも、企業の内製化の推進理由の上位2つについて、「開発コストの削減(55.2%)」と「開発、実装、保守対応の迅速化(49.7%)」が占めている。

 しかし、こうした実情について「内製への切り替えは簡単にはいきません」と注意を促すのはガートナー シニア ディレクター,アナリストの片山 治利氏である。

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ガートナー シニア ディレクター,アナリスト
片山 治利氏

「内製化の推進には抑えておくべきポイントがいくつもあります。しかし、それらを整理できていない企業も現状において散見されます。このままでは内製化により手痛いしっぺ返しを食らいかねません」(片山氏)

 では、内製化を成功させるポイントはどこにあるのだろうか。片山氏によると、具体的には次の5項目が挙げられるという。

  1. 開発コストの削減は中長期の課題と捉える
  2. 対象領域を定める
  3. 対象工程を定める
  4. 人材育成は下流から
  5. 小さく始める

 ではこの5つについて、具体的に見ていこう。

コスト削減で取り組むべき「3つの施策」

 まず最初の「開発コストの削減は中長期の課題と捉える」については、内製化によるコスト削減は企業にとって大いに魅力的だが、それを短期目標に据えると悲劇に見舞われると片山氏は指摘する。

「そもそもエンジニアの仕事は3K(きつい、帰れない、給料が安い)とされています。その中でコスト削減を短期目標に据えれば、人の育成などにお金をさらに投じなくなり、退職が相次ぐなど不幸な職場に一直線です」(片山氏)

 コスト削減は重要だが、そうした事態に直面しないためにもあくまで中長期目標であることをまずは理解すべきなのだという。

 そこで取り組むべき施策として片山氏が挙げるのが、下記の3点である。

  • 開発スキルやノウハウ、経験の獲得を通じた「IT部門の人材育成」
  • ビジネス変化への柔軟な対応に向けた新たなテクノロジーやプラクティスの習得、迅速な意思決定による「開発、実装、保守対応の迅速化」
  • ビジネス価値を生み出せる組織への脱却などにより「IT部門の役割の見直し」

 これらの実施を通じて開発生産性は確実に高まり、開発コストの削減につなげられるのだと片山氏は強調する。

 そして、内製化成功の2つ目のポイントとなる「対象領域を定める」においては、社内の全システム内製化は人的リソースからも非現実的なため、自社で内製化するシステム領域を事前に決めておくことが重要になる。そのための方法はいくつかあるが、広く行われているのはシステムが「競争領域か非競争領域か」、「独自性が高いか標準的か」という点から判断する手法である。

 「競争領域で独自性の高い」システムは企業の競争力に直結する重要なシステムであり、そこでの選択は内製化が最有力だ。逆に「非競争領域で標準的」なシステムは競争力に最も影響を与えないため、外製のまま残す。残る2つは、IT予算や人員などのリソースを基に適宜判断する。 【次ページ】なぜ「まず下流から」なのか

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