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  • 2007/06/21 掲載

ソフトウェア資産管理を極める!(3):SAMS構築の手順

IT資産管理のファーストステップ

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ソフトウェア資産管理(SAM:Software Asset Management)が今注目を浴びている。今さらソフトウェアの管理?と思われる方もいるだろうが、無形の資産で把握のしづらいソフトウェアの管理は、内部統制を正面から取り組む企業にとって大きな課題となりつつある。実際やってみると非常にやっかいなソフトウェアの管理を、どのような形で実現するのが最も効率が良いのだろうか?長年IT資産管理のコンサルティングに従事する篠田仁太郎氏が解説する。
執筆:篠田 仁太郎
SAMS構築の手順

 手順自体は、一般的なISOよりもむしろ簡単だ。端的に言えば、管理システムを構築し、PDCAを回していくということなのである。手順を簡単にまとめた下図を参照しつつ、読み進めてもらいたい。


SAMSの手順


 まず第1に目標を定め、規程や体制を構築する。目標とは、管理目的をどのレベルで達成するか? ということである。もちろん、ライセンスが「足りない」という状態は論外である。「ライセンスに不足がない」ということは前提として、たとえば、過剰ライセンスは何%以内に抑えるとか、非稼働PC は何%以内にするというような目標となる値を定めるのである。

 次に現状を把握する。最初に目標を定めたことで、どういう管理手法・管理体制にすれば良いかが明確になり、規程の詳細、たとえば、現状把握の回数とその方法とか、管理台帳の更新頻度、部門管理か全体管理か、といったことを決めていくことができる。

 次に、現状と目標との差分を明確にする。その差分が目標の範囲内に収まっていない場合には、再度目標設定に戻り、管理規程や体制の見直しを行う。というのも、最初に現状把握をすると、調査項目が足りないとか、収集情報の正否が判断できないといった事象が起こるからだ。再調査となると手間もコストもかかるので、この手順で実施する。

 そして最後にSAMSの運用を開始し、規程に従って運用状況を定期的にチェック、有効性を確認する。その結果を踏まえ、SAMSをアップデートしていく。

SAMS構築時の具体的なポイント

 SAMSは基本的には前述した手順で進めていくのだが、その際に注意すべき点をいくつか補足説明しておきたい。

・管理体制と管理規程

 目標を定める際に、部門管理とするのか、全体管理とするのかを明確にしたほうがよいだろう。ただし、部門管理の場合にも部門管理者とは別に、全体を統制する全体管理責任者を任命することをおすすめする。全体の把握がされていなければ、対外的なSAM の証明は不可能に近いからだ。

 次に規程だが、これは第三者による管理基準や評価規準を参考にするとよい。ソフトウェア資産管理コンソーシアムのサイトを参考にしてもらいたい。なお、ISO/IEC19770-1 の中には、「SAM プロセス」として、管理プロセスが記載されている。対訳版が日本規格協会から出ているので、これも参考にするとよいだろう。

・現状把握

 「何」を対象に含めるのか、また「誰」が現状把握を実施するのかが重要である。PCやサーバーだけでなく、たとえば周辺機器をどうするかという問題( 使用許諾権を証明するための物件として何が必要かということ)によって、調査項目も変わる。

 次にその調査は誰が行うのか、ということも考えておく必要がある。一般ユーザー、監査部門、管理責任部門、外部委託業者など、ソフトウェア資産管理を行えそうな人々は意外と多い。とはいえ、筆者のこれまでの経験では、一般ユーザーに調査をさせている企業で、正確に現状を把握できているところはほとんどない。一般ユーザーがSAM の知識を持って調査することは不可能だからである。

 では、監査部門はどうだろうか? これも、SAMの知識が十分にあるとは言えず、難しい。そうすると、あとは、管理責任部門か外部委託業者ということになる。筆者がもともとIT資産管理サービスを提供していたからというわけではないが、このような人手を必要とする業務は、外部委託業者を使うことが望ましいと考える。自社で行うよりも早く、確実に調査を完了できるからだ。調査期間も重要だ。長くても1か月以内に全調査を完了させた方が良い。これは、対象物の異動を最小限に抑え、調査データの陳腐化を防ぐためである。

・インベントリーツール(資産管理ソフトウェア)

 SAMSを回すためには、ツールの導入は必須だ。ただし、ツールの導入=SAMSの構築となるわけではない。多くの企業がツールを導入しているが、実際には十分に利用できていないところがたくさんある。自社の状況と目標に見合ったものかどうかが重要なのである。そこで、ツールを導入する際のポイントをここでは3つ述べたい。
1.導入の目的を明確にする
 インベントリー収集のほかに必要な機能を絞る。ログ収集・デバイス制御・アプリケーションメータリングなど、どの機能が必須なのか?
2.「できない」ことを確認する
 どこの販売会社もできることしか説明しない。必要な情報は、「できる」ことではなく、「できない」ことだ。仮に「できない」ことがなさそうだとしても、「できる」ようにするための条件や準備が必要な場合がある。デモの状態を作るために、どんな事前準備が必要かを具体的に確認すべきだろう。
3.社内でテスト利用をすること
 必ず社内にテスト環境を作り、動作確認をした方がよい。「情報システムでテストをしたら大丈夫だったのに、全社に配ったら動かなくなった」ということがある。たとえ時間はかかるとしても、その後のトラブル回避のために、導入テストは必ずしておこう。
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