- 2007/05/16 掲載
Web世界の新キーワード“クリエイティビティ”が、グーグルの一極集中を阻む
時事通信社 編集委員 湯川鶴章氏
『爆発するソーシャルメディア』。 キーワードは、“クリエイティビティ” この記事の内容は ストリーミングでも視聴できます。 |
湯川氏●いろいろな人を取材する中で、どうしてこんなにソーシャルメディアは爆発するのだろう、同じようなソーシャルメディアでも、古いものを駆逐して新しいものが出てくるのは何故だろうという疑問が出てきました。いろいろ考えているうちに、自然に「クリエイティブ」という言葉が頭に残り、いろいろなことが説明つくようになったのです。ソーシャルメディアの源泉は「クリエイティブ」、つまり自分を表現することにあるのだと思い始めたのです。
――国内のソーシャルメディアは、今はまだ爆発前夜だと表現されていますね。表現したいという欲求が、爆発の起爆剤となるということでしょうか?
湯川氏●日本のWikipedia(ウィキペディア)がそうであったように、みんなで知恵を出しあうというソーシャルメディアのサービスは、立ち上がるまでにわりと時間がかかるサービスかもしれません。が、一旦火がつくと爆発する。急速に伸びていくと思うんです。今はまだ、表現というものに対してみんな戸惑っていると思いますね。自分で表現することに日本人は慣れていない。表現することに慣れて、その面白さに気づけば、もっといろいろな形の表現が出てくると思っているんです。表現の面白さは3つの喜びとしてこの本の中でも述べましたが、インターネットというインフラができたおかげで、何かを創造したり、表現したりという喜びを得られる人が爆発的に増えた。アメリカは表現の好きな人が多い国民性だけど、日本人は控えめで自分から表現しないとよく言われますが、この本で主張したかったのは、日本人もアメリカ人も表現したいという欲求に違いはないということ。それが一番主張したかった事です。それは基本的な人間の欲求だと信じているからです。何もしなくても、自然に花が開いていくと思いますね。
―― 1億総クリエイターの時代が来る可能性があるということですね。 湯川氏●インターネットが普及した当初から言われていることですが、それがより明らかになっている気がします。素人の作ったものが、プロの作った映像作品に勝てるわけがないとよく言われますが、そういうのはツールが改良されて、それから一般的な人たちがツールの使い方をどんどんマスターしていくことで、良くなっていくでしょうね。すでに量ではプロの作品を凌駕してますから、これからどんどん質が向上していく可能性があると思いますね。
――湯川さんがクリエイティビティを強く意識するきっかけになったのが、セカンドライフだそうですね。セカンドライフは、ソーシャルメディアの中で、どういった位置にあるのでしょうか?
湯川氏●これまでのソーシャルメディアがテキスト中心だったのに対して、セカンドライフは3次元で表現できるようになりました。たとえばマイスペースでの表現が壁紙を変えたりとか、そういった単純な表現だったのに対し、より複雑で高度な表現になっている。セカンドライフが今後どうなるかは分かりませんが、3次元の表現には大きな広がりがあると思っています。デジタルハリウッドの杉山校長がおっしゃるように、「まさに本当の意味でインターネット時代の幕開けが始まる」と。3次元インターネットというのは、インターネットの究極形の1つになる可能性であるとも思います。
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