- 2007/02/05 掲載
【ITキーパーソンインタビュー(2)】SOAとは何か?--IBM 高橋氏(2/2)
日本IBM ビジネス・コンサルティング・サービス事業 C&SI事業 SOA事業推進 部長 高橋 和子 氏インタビュー
──SOAを提供する企業として、IBMがもつ競争優位性について教えてください。
調査会社米ガートナーのレポートでは、SOAに対する優位性をもつベンダーとして、IBMは認識されているようです。これは、SOAの本筋を見極めた考え方をしっかり提示できているからでしょう。
その結果としてお客さまから評価をいただいているのだと思います。また、今後の課題として、CBS(Composite Business Service)というコンセプトを進めていく方針です。これは、すでによく使われている出来合いのビジネスプロセスをサービスにして、それをアセットとして用意しておくものです。ユーザーが何かビジネスをしたいときに、部品をもってきて素早く組み立てることができます。CBSをつくるためのセンターも世界規模で展開しており、専用拠点をインドと中国に設置しました。日本だけではなく、ヨーロッパやアメリカなどグローバルなユーザーに対してコンサルティングを行い、ビジネスの掘り起こしをしていますから、ベストプラクティスを提供できるようになると思います。 いまのところ、CBSを適用できる分野は保険とヘルスケアの業界に限られていますが、これを金融分野や他業種にも広げていく方向です。日本には優れたリーディングカンパニーが数多くあります。そのようなお客さまと一緒に、CBSによってイノベィティブなビジネスをグローバルに展開していけるようにしたいと考えています。
──最小コンポーネントから作り直そうという考え方もあるかと思いますが?
小さなコンポーネントから始めるという考え方はSOAだけに限ったものではありません。ただし、テクノロジーひとつ1つが革新的ではなくても、その組み合わせによって、より優れたシステムを構築できるという手法については新しい考え方と言えるでしょう。SOAでは、(コンポーネントを)リユースできるので、すべてを取り替える必要はありません。いま持っているものをそのまま適用しようという考え方がベースにあります。先日、銀行向けの新しいソリューションを発表しましたが、特に銀行などではレガシーシステムを多く抱えています。何かビジネスを始めるときに、これらをすべて取り替えることは現実的には不可能です。そのような場合には、レガシーシステムをそのまま利用し、ラップして新しいアプリケーションとつなげていくような考え方もあります。
──今後の展開について教えてください。
いま社内では、フェーズ2にSOAが入ったと認識しています。フェーズ1では人が中心の話でした。つまり、大変優秀な人たちが集まって、さまざまなツールや製品を使って、時間をかけてシステムをつくりあげる段階でした。フェーズ2では、ツールや製品をすでに組み上がっているアセットベースに持っていくこと、先ほどのようなCBSの話がメインになります。これは次の課題であり、我々だけでなく、他ベンダーもリユースできるアセットベースのビジネスを展開しようと考えているはずです。 あとは、いかにこのビジネスを早く展開していけるか、このCBSの世界が早く構築できるようになると、SOAがさらによく分かるようになってくるのではないかと思っています。
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