- 2007/01/05 掲載
【中国ビジネス最前線(3)】ビジネスの鍵はやはり人間関係(中国ビジネス成功の秘訣)(2/2)
前編では、中国の最果ての中の最果てともいえる保山にある邱公館食品の事業概要をご紹介した。このような最果ての場所にある加工場でも、なんとADSLがひかれている。「基地局はおそらく最も近い5km先にある集落の中でしょう(村田氏)」そのせいかADSLという名に見合った速度はない。
実際の速度はダイアルアップよりはマシという程度だが、赴任した当初は携帯電話を介して通信していたせいで、格段に通信環境は改善した。Webカメラ付きのノートPCを日本で購入し持ってきたが、ビデオチャットができるほどの速度が出ず断念した。ただし、音声通話ならばSkypeが辛うじて利用できるという。「ADSLという名に負けぬ速度は欲しいですね…」と村田氏は今後のインフラ整備に期待を寄せる。
中国のスタッフにあったミーティングができる
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Qscafeで販売されるコーヒー 「空港で買うより安くて高品質(林氏)」 |
Q's cafeは昆明以外にも北京など数箇所で展開している。昆明のこの店舗は経理の林晃司氏が担当している。ちなみにこの店舗の従業員は正装ではあるものの、雲南らしく少数民族が多数を占める。
Q's cafeではティピカ豆のコーヒーや、ティピカ豆の中から更に厳選された最高級コーヒーが飲めるほか、林氏が北京に行って学んだ雲南一美味しいケーキが食べられる。主にホテルに泊まるビジネスマンが利用するが、中には口コミでやってくる地元の美食家もやってくることも。
「最高級ホテル勤務」そのステータスを得たいがために有能な人がときどき求職にやってくる。しかし、それでも最高級ホテルの中の一施設として期待されるサービスを継続して提供していくことは常に大きな課題だ。
昆明の最高級ホテル「翠湖賓館」にある「Q's Cafe」
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邱公館食品は昆明での多店舗展開や、コーヒー豆を買ってくれる店を探している。「多店舗展開をしたあかつきには、店長間でビデオチャットによるミーティングを行えるような環境を作りたいですね」と、人間関係強化のためのIT化という姿勢を貫く。
それは単に中国でもブロードバンド化したためにリッチな方法でミーティングをしたい、というわけではない。「中国人スタッフとの人間関係には多くのコミュニケーションが必要なのです」林氏は自身での中国での経験上、中国ではスタッフとはある意味で親密になる必要があり、日本的な考えが唯一正しいとして押し付けてはスタッフがついてこないことを知っている。
そのため林氏は仕事のときは厳しく、仕事が終わればスタッフとともに食事を囲む、そうすることでスタッフから信頼を得ている。いずれ多店舗展開するとなれば、中国人スタッフに店長をお願いするだろう。そのときにテキストや音声ベースでの会議よりも、お互い表情が見えるビデオチャットのほうが中国のスタッフにあったミーティングができるだろうと林氏は考える。
山谷剛史 海外専門ITライター。守備範囲は中国・東南アジア・インド・北欧など。現在主に中国に滞在し、中国関連の記事を複数メディアで執筆。一般誌にも時々執筆するが、とはいえノンポリティカルな執筆が基本。統計数字だけではなく、できる限り誰にでも読めて分かり、匂いや雰囲気を感じることができる記事をつくるのがポリシー。そのために裕福な人々ではなく、国民の大部分である平民層以下にスポットを当て、現地で体を張って取材。 |
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